先輩のを舐めてみたい 後編






「落ち着いたか?」
「はい……」
 落ち着いた。
 その渚の頭に、再び清澄の大きな手が置かれた。
「しかしお前、エチぃなぁ。ま、お互い様だけど」
 清澄は微苦笑する。
 返す言葉まで先回りされ、渚はなんとも言えない。
「……で、続けられるか?」
「私は平気ですけど……むしろ、先輩の方が」
「……ん、まあな。けど、ちょっと休んだから、大丈夫だろ」
「さっきよりも少し柔らかいみたいです」
 渚は精液の残滓と唾液にまみれたソレを手で包み込み、感触を確かめた。
 一応、屹立してはいるものの、ソレは勢いを失っていた。
 大きくしなくちゃいけない。
「……男の生理だ。そういうもんなんだよ――くっ」
 渚の舌が、再び清澄のモノに触れた。
 先端を吸い上げると、まだ彼の体内に残っていた生臭い粘液が口の中に流れ落ちてくる。
「ふぁず……ひれいにしまふね」
 渚が一度、二度と舐めるたびに、手の中で清澄のモノが徐々に勢いを取り戻していく。自身の手で回復していくのが嬉しくて、渚の奉仕もどんどん熱を帯びていった。
 同時に、渚自身も体内にくすぶっていたものが昂ぶっていた。
「ん、ああ……やばいな、薬、効きすぎか?」
「大丈夫ですよ……何度でも、先輩が飽きるまでしますから」
 ただ、自分がどれだけすれば飽きるのかは見当がつかなかった。
 清澄のモノは次第にさっきまでと同じ、力強い漲りを甦らせ始めた。
「それはそれで困るけどな……口だけで終わる気はないし」
 さっきまでは感度も鈍かったのだろう。
 清澄の息も荒くなってきている。
「まだ……私の番ですよ」
 清澄のモノが元気になるように、なるべく淫らに見えるように渚は竿を舐め上げる。
 が、特に意識する必要はなかった。
 ほんのわずか、頭の片隅にでも置いていれば充分だった。
「ま、次は……いいか」
 ふぅ……と息を吐き、清澄は自分のモノを渚の顔に押し付けた。
「俺ので腹いっぱいになるまで、出させてもらうぞ」
「はい……ん…じゃあ、頭撫でててください」
 言われるままに、清澄の手が渚の髪をゆるゆると撫でる。
「なあ、これ気持ちいいのか?」
「安心するんです」
 渚は、竿以外も刺激する。
 右手で竿を擦り上げ、左手で袋に指を這わせつつ、顔を徐々に先端の方へ移動させていく。
「それにしても渚……どれだけ、練習したんだ?」
 上ずった声で、清澄が尋ねてきた。
「ん…ぅ…やっぱり……まだ下手ですか?」
「逆だ。多分、成果が出ているんだろうが……ん、そこ」
 亀頭を唇で包み込みながら舌先で腺液を舐め取ると、清澄の身体がビクッと震えた。
「はい……ん、はぁ……ここ、ですか。じゃ、あとはこの辺りとか」
 つつ、と舌を休めないまま顔を下に移動させ、袋も舐めていく。
 小さく左手で持ち上げながら、椅子との間にある会陰部にまで舌を伸ばした。
「……お、おい。どこで憶えた、そんなとこ」
 清澄は慌てて身をよじるが、渚は先回りして彼の太股をがっちり固定した。
「えっと……友達から、ちょっとビデオを借りて、それで」
 顔をどんどん股間に埋め、音を立てながら袋と会陰を吸い続ける。
 確実に効いているのか、手の中で清澄のモノがビクビクと痙攣を繰り返した。
「道理でバナナだけにしては、うまいと思った……そういう事か…」
 鈴口から絶え間なく腺液が溢れ出す。
 口で下を舐めている間、渚がそこを親指で撫で回していた。
 清澄は歯を食いしばり、下から押し寄せてくる大きな快楽に耐え続けていた。
「息……荒くなって来てますね」
「……そういう所を、あんまり見るな」
 我慢しながら、何とか清澄は声を出した。
「はい……」
 が、それが強がりである事も、渚は見抜いていた。
「あ、先輩の、また膨らんできてます」
 それが射精の兆候なのだろうなという事は、渚にも理解できた。
「ああ、やばい。また、出そうだ……」
 清澄は耐えている。
 ほんの少しでも気を抜けば、放出してしまうのだろう。
 なら。
「今度は、ちゃんと飲みますから……」
 渚は清澄のモノを口に含む。
「そんなに飲みたいのか?」
「好奇心ですね……ん、ぅくっ……」
 彼の手は渚の頭を押さえたままだが、さっきのように力をこめて来たりはしなかった。それに安心し、渚は積極的に清澄に奉仕を施す。
 渚は覚悟を決めて、喉奥まで清澄のモノを突き入れた。
 苦しくはあったが、清澄に強引にされた時とは違い、自分からしているので余裕はあった。けれど、それも最初だけに過ぎない。
 自身の口を性器に見立てて往復させる行為に、渚は先刻とは別の意味で余裕を失っていた。胎内で男の精液を受け入れる行為を、口で行う。
 その瞬間が、もう目の前まできていた。
「んぅっっ! んっ…ぐぷっ! んっ! んぅっ!」
 渚の口内で、清澄のモノが一段と大きく膨れ上がる。
 もはや虚ろになった頭の中で、渚は「あ……来るな」と思った。
「んっ……くぁっ……渚……っ!」
 清澄の唸りと共に、狭い口の中に勢いよく熱い粘液が迸りを開始した。
「ん……ん、んんっ……んく……ぅんっ……!」
 ソレが脈動を続ける度に先端からは激しく精液が溢れてくる。
 生臭いそれを渚は頭を止めて、懸命に嚥下した。
 とはいえ、それも無限には続かない。
 やがて勢いがなくなり……渚は口腔内に残った雫を最後にコクンと飲み干した。
「……はぁ」
 清澄は脱力したように、椅子の背もたれに身体を預けた。
 萎えた清澄のモノを吐き出し、渚は口端から滴った涎をそっと手の甲で拭った。
「……ふぅ。全部、飲めました……やっぱり、あんまり美味しくないですけど」
「あんまり無理するなよ?」
 ここまでさせておいて何だかなぁ……とも清澄は呟いた。
 無意識にか、清澄は仔犬でも撫でるかのように再び渚の頭を撫で始めていた。
「先輩が気持ちよくなってくれるのが、私にとって気持ちいいことなんですよ」
 それは、俺も同じだな。
 清澄は苦笑する。
「……それも、さっきの仕返しか?」
「いえ。どちらかというと、これはお返しですね……あの、もう一度、大丈夫ですか?」
 さすがに力を失っているソレに、渚は心配そうに視線をやった。

「俺ので腹いっぱいになるまで、出させてもらうぞ」

 言ったのは自分だ。
 だから、その責任は取ろう。
 が、さすがに。
「ちょい、休憩させてくれ……」
 清澄は渚にコップを渡しながら、自分も水を飲んだ。


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