先輩のを舐めてみたい 前編






「覚悟、しといてください――」
 渚はそう言うと、まだ席に着いたままの清澄の前に跪いた。
「――という訳で、始めます」
「お、おい!?」
「抵抗しちゃ、駄目です」
 渚の希望は、『今すぐここで、先輩を襲う』だった。
 従って、清澄は口では反論するものの、抵抗する訳にはいかなかった。
「……渚。俺はまだ、返事もしてないんだが」
 ゆっくりとジッパーを下ろされる。
 ついさっき、渚が自らの手によって絶頂を迎える場面を目の当たりにし、そこは大きくいきり立っていた。
 渚がトランクスから取り出したソレは、先走りの液が溢れていた。
「だって先輩、さっき意地悪しました。仕返しです」
 声が上ずらないように気をつけながら、渚はソレを右手で包みながら顔を近づけていく。
 生臭い匂いが鼻をつくが、特に嫌とは感じなかった。
「仕返しになってない…ぞ?」
 指の感触にか、むしろ声を上ずらせているのは清澄の方だった。
「痛い……ですか?」
 力加減が分からず、渚は尋ねた。
 正直、こんな至近距離で見るのも触れるのも初めてだ。
「いや、大丈夫だ……が、本当に……ここでするのか?」
「先輩、玄関でしました」
 ここまで来たら、もう止まらない。
 ゆっくりと、舌を伸ばす。
 舌の粘膜に、逞しい剛直の感触が伝わってきた。
「そう言われると……返す、言葉がないが」
 ビクッと、清澄の腰が動く。
「……気持ち、いいんですか?」
「まあ、な……」
 清澄の様子を伺いながら、唾液を乗せて少しずつ竿を舐め上げていく。
 本やビデオで身に付けた知識を脳裏に甦らせながら、男が悦ぶ場所を思い起こした。
 括れた部分を尖らせた舌でなぞり、いよいよ頂点を目指す。
「おい、渚……く、ぅっ」
 しょっぱい先走りの液を飲み下しながら、小さく開いた唇で鈴口を包み込む。
 一旦動きを止めて、覚悟を決めた。
 少しずつ、清澄のモノを口に含み始める。
 渚は口唇の処女を、自ら清澄に奉げ犯していった。
「はぁ……んっ……やばっ……」
 口の中で、清澄のモノがビクビク震え、膨張する。
 出る……?
 一瞬、渚は思ったが、清澄はギリギリのところで留まったようだ。
 自分に飲み込めるギリギリまで口に入れたところで、唾液にまみれたそれをゆっくりと引き抜いていく。
 まだ、出されるにはもったいない。
 せっかく身につけた知識をどうせなら、全部清澄に使ってみたかった。
 右手で竿を扱きながら舌を上下に這わせていく。
 同時に左手で袋の皺を優しく撫で上げた。
 自分が上手なのか下手なのか、最初は気になったがやがてそれも脳裏から吹っ飛んだ。
 今は、『自分のターン』なので、やりたい事をする。
 ぶっちゃけ渚は開き直っていた。
「な、なあ、渚……やけに慣れてないか?」
 実際の所、清澄は渚の奉仕に戸惑いつつも、どんどん追い詰められていた。
 玄関と渚の部屋で出していなかったら、もうとっくに放出していただろう。
 渚の攻めはあまりに直線的で、自分自身に欲望に忠実だった。
 つまり、舐めながら自分で興奮しているのを隠そうともしていない。
「んく…はい。やっと…っ…ふぅ…ん、ぅ…試せますから」
 荒い鼻息を上げながら、竿をしごき上げる手の動きがどんどん加速し手慣れていく。
 裏筋を舐め上げたと思ったら、再び口に含んでいく。
 頭を上下させつつ、口の中でも清澄のモノを舌で刺激していく。
「おい、まさか……テーブルに大量にあるバナナ…ひょっとして」
「練習の成果……ん…くぅ…ふ……出ると…っ…いいんですけど」
 喉の奥に清澄の先端が当たるたび、渚の頭はくらくらした。
「ああ、出てる……悪くない」
 口の中に溜まる唾液を時には潤滑油にし、時には自ら飲み下していく。
 私……暴走してるなぁ。
 渚はそんな事を思いながらも、もはややめるつもりは微塵もなかった。
 ここまで来たら、最後まで……そして、練習では味わえなかった『アレ』もしてみたかった。
 と、ふわっと渚の頭が温かいものに包まれた。
 気を逸らす為だろうか、清澄の手が渚の髪を撫でていた。
 それは、暴走していた渚の心をある程度、落ち着けた。
 まあ、あくまで『ある程度』だが。
「あ……先輩、その手、もっと……お願いします」
 手の速度を緩め、渚は清澄にねだった。
「俺は、意地悪だからなぁ……さて、どうするかな」
「頑張りますから……ん……ぅん……ん、んむっ……してて下さい」
 頭を撫でられながら、渚は彼のモノに何度もキスをした。
 生臭い腺液がしきりに先端から溢れるが、それも気にならなくなっていた。むしろ、自分の奉仕の成果だと思うと、嬉しくなってくる。
「あまり……激しくするなよ……出ちまうだろ」
 息を上げながら、清澄は声を絞り上げる。
 限界が近いのが、渚にも分かった。
「出して…っ…いいですよ……」
「もったいない…だろ? せっかくなんだから……もう少し……」
「は…ぁん……だから、一回出ても…まだ大丈夫なんじゃないですかって……聞いてるんですけど」
 言いながらも、渚は手と舌を休めず清澄の感度を上げていく。
「……いい…のか?」
 清澄は天井を見上げながら、尋ねてきた。
「はい……私もまだ、続けてたいですから……」
「分かった……一度、出すぞ…っ」
 いきなり、清澄の手が渚の頭を押さえた。
「ん……うぅっ!?」
 ぐい、と頭が押され、強制的に清澄のモノが口の中に侵入してくる。
 と思ったら、また引き抜かれ、再び口内へ。
 ガクガクと激しく頭を揺さぶられ、喉奥が何度も清澄の先端に突かれる。
 自分でするのとは違う、荒々しい責めだ。
 目尻から涙が溢れてくる。
「ん、んんっ! ん! んくっ! ん! ん!」
 唾液を処理する余裕など欠片もなく、透明な雫が幾つもダイニングの床に滴り落ちていった。
 清澄の唸りが切羽詰り、口の中で熱いモノが一際膨張する。
 来る……!!
 霞がかった頭で、渚はそれを感じた。
 同時に、口内を大量の迸りが満たしていった。飲み下せる状況ではなかった。
「んううぅぅっ!! ん――けほっ! ごほっ!」
 反射的に、渚は自分の頭を押さえていた清澄の手を振り切り、咳き込んだ。
 咳をするたびに、口の中から白濁液がこぼれていく。
「は、ぁ……はー……す、すまん、大丈夫か!?」
 肩を揺すぶられ、渚は頭を横に振った。
「こほっ、だ、大丈夫です……すみません、飲めなくて」
「……あのな、やや偏った情報を持っているようだからこの際言っておくが、別に無理して飲むものじゃないぞ、これは?」
 そんな事は知っている。
 けれど。
「私が……飲んでみたかったんです」
 出来なかった。
「うぅー……」
 最後の最後で失敗して、再び涙が溢れ出した。
「……う。と、とりあえず、口をゆすげ、ほら」
 目の前に、水の入ったコップが差し出される。
「はい……ん……んくっ……はぁ」
 水を口に含むと、口内に絡み付いていたものが取り除かれていった。


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