バイブで自慰






 食事を終え、二人は渚の部屋に戻った。
「こ、これは……?」
 渚が清澄から手渡された大きなバイブの感触を恐々と確かめながら、尋ねた。
「知らないのか?」
「いえ、知ってますけど……先輩、こういうの、どこで手に入れてくるんですか?」
「アダルトショップ、ネット通販、悪友のツテ……その辺りだな。他にも色々あるが、とりあえず、今回はそれだ」
「は、はい……」
 何をするのかは略したが、さすがに渚は察したようだった。
「で、でも…何か緊張します……」
 そりゃそうだ。
 清澄はおかしそうに笑いながら、渚をベッドに導く。
「平気な顔で始められたら、俺の方が驚くだろな」
「そ、そうですけど……」
 渚は部屋の壁に背中を預けて、膝を微かに持ち上げ脚を投げ出した。
 清澄自身はベッドの傍らに立ち、ポケットに手を突っ込みながら渚の行動を見守る。
 しかし、渚はさすがに恥ずかしいのか、なかなか始めようとしなかった。
「あ、あの……」
 何か言いたげな目で、渚が清澄に訴えてきた。
「ん?」
「一緒に……してくれませんか?」
 ……。
「あぁ?」
 一瞬清澄は、自分が何を言われたのかよく分からなかった。


 渚は服をはだけさせ、ショーツを足首まで引き抜いた。
 潤んだ目で清澄のモノを恨めしそうに凝視しながら、渚は股間にバイブを押し付ける。 ダイニングでの余韻か、まだ身体が熱でくすぶっていた渚の膣は、ほとんど時間をかけずに愛液を溢れさせていた。
「……そんなもの欲しそうな顔をするな」
 まだ半勃ち状態の自分自身を扱きながら、清澄は複雑な表情を作った。
「だ、だって、目の前にあるのに……こんなの」
「元々……俺はする気はなかったんだが……」
 少しずつ、清澄のモノが硬さを主張していく。
 だが、それに触れる事が出来ない渚の表情は、ますます切なそうになっていた。
「ほら、手が止まってる。そっちがメインなんだから、しっかりしろ」
「は、はい……でも、こんな大っきいの入れた事ないから……」
 まだ思い切りが足りないのか、バイブは数センチ入ったところで行ったり来たりしていた。いくら濡れていても、渚の小さな入り口に、大きなバイブは負担が大きいようだった。
「普段は、どうしてるんだ」
「指…です」
 上目遣いで答える渚。
「あの……この質問も答えなきゃならないんですか?」
「全部な。じゃ、指も使って、まずはいつも通りにやってみろよ」
「ん……あ…で、ですけど……」
「うん?」
「……両手がふさがってて、出来ないです」
「……じゃあ、まずは指で」
 清澄の命令で、渚はバイブを一旦ベッドに置いた。
 そして、右手を秘処に、左手を胸に添える。
「緊張します……」
 渚はそう言いながらも、微かに足を広げて清澄に見えやすくする。
「いつも通りにすればいいさ。頭の中で、どんなのを想像してる?」
「せ、先輩の手で……んっ」
 右の人差し指で秘唇をなぞりながら、左手をもぞもぞと動かし始める。
「もう一方の手は、そっちか」
「はい……あまり強いと怖いから、こうやってゆっくりしながら……」
 円を描くように優しく揉みながら、乳首を時々いじっては微かな声を上げる。
 秘処を往復する指もあくまでゆっくりだが、小さな水音が鳴るたびに渚が徐々に昂ぶっているのが分かった。
「すごく濡れてるな。いつも、こんなになってるのか?」
「違います……先輩が見てるから、私……いつもよりずっと感じてて……」
 清澄の剛直を見ながら、渚は自分の中に右人差し指を沈めていった。
「胸も一緒に。それと、今日挿れるのは指じゃないだろ」
「ん……あ、は、はい……」
 渚は指を引き抜き、ベッドに置いていたバイブを手に取った。
 胸を揉みながら、ほぐれた秘処にバイブを押し付ける。
「あぁ、すごい……」
 先端が秘唇を押し開き、渚は呻き声をあげた。
「俺のモノだと思って、入れてみろ。自分の思った通り、一気にでもいいし、ゆっくりと味わうようにでも構わない。好きなようにやるんだ」
 その言葉に導かれるように、渚は大きく脚を開いて清澄に見せ付けるようにしながら、徐々にバイブを膣内に埋めていく。
「ん……あ、あああぁぁ……せ、先輩の……入ってくる……あ、あぁ……すごぃ…大きいのが……」
「すごいな……あんな大きかったのが、全部入ったのか」
 清澄は自分の手の動きを早めながら、ポケットに突っ込んでいた左手で『それ』のスイッチを入れた。
「ひぁぅっ!?」
 渚が仰け反り、ベッドが大きな軋みを上げた。
「あ、せ、先輩……あ、あぁっ……なか、中が…震えて……」
 渚は声を震わせながら脚のつま先をキュッと丸め、シーツを引っ張った。
 清澄は、左のポケットから『それ』を出した。
 長細い、目盛りの入った器具。
「リモコンだよ。目盛りを上げると、バイブが振動する。でもまだ、これでも弱い方なんだぞ?」
「ほ、本当に……これで、まだ?」
 渚は、身体の芯から直に与えられる快感を堪えるように、キュッと唇を結んだ。
「ああ、見てみろ。この目盛り。これが一番端まで行ったら最大値だ。今とは比べ物にならないほど大きく動くんだぞ?」
「……」
「怖いか?」
「怖い、です。でも……」
 清澄は、渚の怯えた目の中に期待の色が微かに混じっているのを、ちゃんと捉えていた。
「分かってる。けど、一気にやるとつまらないからな。その状態でしばらく我慢してみろ」
「ん……はい……」
「耐え切れなくなったら言うんだぞ? 欲しいって」
「は、はい……」
 微振動を続けるバイブを、渚は少しずつ引き抜き、そしてまた少しずつ自分の中に押し込んでいく。
「あ、あ、あ……んっ…くうぅぅ……」
 往復するたびにその動きは次第に大胆に、渚は自分の乱れ振りを清澄にさらけ出していく。
「はぁっ……はあっ…っ…はあ……先輩も…もっと、激しく……」
「……こう、か?」
 清澄が自分のモノを擦る手の動きに合わせて、渚もバイブを激しく動かした。
 清澄は指一本触れていない。
 しかし、渚の中では自分を貫いているのは、人工の模造品などではなく清澄のモノだった。
「先輩、あ、中、掻き回されて……はぁん……あん、あぁっ……!」
 目の前で自慰行為を披露する渚の姿に、清澄の方も興奮が高まっていく。
 耐え切れなくなったのか、渚がついに叫んだ。
「下さい! 先輩のそれ、目いっぱい上げてください!!」
「よし……!」
 清澄は、リモコンの目盛りを一気にマックスまで上げた。
 ブルッ。
「はっ! あっ! ああぁぁあん!!」
 渚は目を見開き大きく絶叫すると、身体を痙攣させながら絶頂を迎えた。
「――くっ!」
 清澄も限界を迎えた。
 勢いよく飛び出た白い飛沫が、渚の顔や胸に容赦なく降り注ぐ。
「はぁ……あぁ……」
 天井を見上げながら、渚はまだ絶頂の余韻を味わっていた。
 手が力を失い、渚の秘処からは愛液まみれのバイブがモーター音を鳴り響かせながら、ゆっくりと吐き出された。
 清澄はティッシュを取ると、呆然としている渚の顔や胸に付着した彼自身の体液を拭っていった。
「大丈夫か」
「あんまり、大丈夫じゃないかも…しれません……すごい、よかったかも……」
 渚の虚ろな瞳に、徐々に理性の光が戻ってきた。
「本物よりも?」
「ん、と……これはこれですごかったですけど……」
「けど?」
「紛い物なだけに、愛が足りないみたいです……先輩」
「何だ?」
「一緒にお風呂、入りませんか……?」


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