学生服が着てみたいです






 渚の部屋に入った清澄は、どうも落ち着かない様子で部屋を見回していた。
「どこか、変ですか?」
「いや」
「でも、何だか落ち着かないみたいですけど」
「俺だって、初めて女性の部屋に招かれたら緊張ぐらいする」
 その事実が己の沽券に関わるのか、清澄は不機嫌に唸った。
「じゃあ、私も先輩の部屋にお呼ばれされたら、緊張する事にしますね?」
「……変わってるな、お前」
 渚の頭に本、と手を置く清澄。
 その、清澄の袖を渚が握った。
「うん?」
「先輩。私にリクエストは、『これ』です」

「こ、これから着替えますから――」
 コートをハンガーに引っ掛けてから、渚はスカートのジッパーに手を掛けた。
「ああ」
 清澄が部屋を出ようとしたので、言葉を続けた。
「――見てて……下さいね?」
 清澄は足をとめ、天井を見上げた。
 床を見つめ、最後に渚を見た。
「……」
 顔が燃え上がりそうな気持ちに耐えながら、渚も清澄を見つめ返した。
 少し間があってから、清澄が頷いた。
「そうだった。今日と明日は、そうだったもんな」
「はい」
 スカートを脱いだ渚はノーパンだ。
 玄関で脱いだ後、もう一度履くのが気持ち悪くてポケットに入れていた。
 私……すごい格好してる。
 そう思いながら、渚は次にスカーフに手を掛けた。
 清澄に視線をやると、ジッと渚の着替えを眺めていた。
 ドクン。
 下腹部が徐々に熱くなっているのを自覚しながら、スカーフを抜きセーラー服を脱ぐ。
 渚は、下着姿の自分を改めて眺めた。
「やっぱり私、子供っぽい……ですよね」
 胸もそれほど大きくないし、子供体型だ。
「そうだな。でも、俺はお前のそういう所も気に入ってる」
 清澄のその言葉に、渚の心がぶるっと震えた。太股を愛液が一筋、滴り落ちる。
 何もされないまま感じている自分の身体を堪えながら、渚はブラジャーも取って全裸になった。
「はぁ……」
 大きく息をつく。
「制服を……貸して下さい……」
 清澄はコート、学生服と脱ぎ、それを手渡した。
「『これ』で、いいのか?」
「はい」
 渚は、清澄の学生服をギュッと抱きしめた。
「先輩の匂いがします……」
 そして、素肌の上から直に学生服を羽織った。
「本物が目の前にいるんだが」
「はい。でも、この制服いつも欲しかったんです。これがあったら、いつも先輩を感じられるのになぁって」
 腕を伸ばしてみたが、袖から手が出ない。
 これが、先輩の大きさなんだな、と改めて思う。
「答えは?」
「想像通りでした」
 カッターシャツ姿の清澄に、軽く抱きつく。
「あとは、このままでエッチしてください」
「了解」

 制服を着せたまま、渚はベッドに横たえさせられた。
「あ……」
 渚の足首がつかまれ、清澄に大きく濡れた股間を開かれる。
「服を脱がすのは、無粋だろ?」
「は……い。でも……は、恥ずかしいです……」
「そうでなきゃ、俺もつまらん」
 軽く笑い、清澄は大きく開かれたままの股間に顔を寄せた。
「んっ」
 ビクッと渚が身を竦める。
 けれど構わず清澄は舌で秘処を責め続けた。
 先刻貫かれたとは思えないほど閉じられたそこを、舌先で割る。
「渚、足」
「は、はい……」
 清澄に命じられ、渚は自分の太股の裏に手を回した。
 これで、恥ずかしい格好を自分の意思で維持しなければならなくなった。
 つぷ……。
「ん、あぅっ……」
 自分の中に、清澄の指が入ってくるのが分かった。
「ふっ……くぅっ……」
 中を軽く掻き回され、身体をギュッと竦ませる。
 そのたびに、制服が直接肌に触れて、身体全体を刺激してくる。
 特に固くしこった乳首は、身動ぎするたびに裏地にこすられ渚の感度を高めていた。
 触れられる前から極限近くまで達していた渚の性感は、清澄の舌と指の責めにあっさりと陥落した。
「ん、あ、あああぁぁっ!」
 一瞬、頭の中が真っ白になり、身体がベッドの上に投げ出される。
「よかったか?」
 まだ輪郭のぼやけた視界に、清澄の顔が映り間近に迫る。
「はっ、はっ、ふぁい……」
 軽くキスし、清澄はすぐに上体を起こした。
「じゃ、次は……」

 清澄は正常位で渚を貫いた。
「んぁっ、ああ、せ、先輩いぃ……」
 渚は清澄の身体に腕を回してしがみついた。
「ゆっくりするからな」
「は、い……」
 頭を上げると、何も言う前に清澄がキスしてくれた。
「ん……やっぱり、こっちの方が安心します」
「さっきのは…嫌だったか?」
「嫌じゃ…んっ…ありませんけど……」
 玄関のは、『気持ちいい』で頭がいっぱいで安心する余裕がなかった。
 やっぱり顔が見えるのはいい、と渚は思う。
「じゃ、こういうのは?」
「……え?」
 グイ、と力ない渚の身体が持ち上げられ、対面座位の形になった。
「ん……あぁっ!」
 ズンと渚の奥まで、清澄のモノが届いた。
 一度、二度、三度……清澄のモノが奥を突くたびに、渚の思考はまともに働かなくなる。
「しっかり、しがみついてろよ? …ん、それでいい、か」
「は、はひっ……あ、これ…っ…いいです、ん! あ、あぁっ、先輩ぃ……!」
 無我夢中でしがみつきながら、本能の命じるままに渚も腰を揺する。
 清澄の動きに合わせると、向こうも渚に合わせてこようとしていたので、すぐに腰の動きが一致した。それに連れて、グングンと渚の中に快感がこみ上げてくる。
「どう…ですか…ん、あっ…せ、先輩ぃ…?」
「ああ、俺もいい……」
「よかった……あ、ん、はーっ……」
 息を吸うたびに、清澄の体臭が渚の肺に流れ込む。
 中を突き上げられ、落ち着かない思考で学生服の感触を改めて感じ取る。
「はっ、あ、ああっ……せ、先輩ぃ……」
 渚は中と外で同時に清澄を感じながら、彼の顔に自分の頬をすり寄せた。
「ん…渚……」
 それだけで通じ、貪るように互いの舌を絡ませあう。
「ん、んぁ、んくっ……んぐっ……んぅっ、んんっ!」
 清澄に包まれ、上下の穴を同時に塞がれる渚。
 全部……全部、先輩でいっぱい……!
 ゴクン、と清澄の唾液を飲み下し……清澄が唸ると同時に、下腹部に熱い液体が噴きあがる。
「ぷぁ……あ、も、もうっ。駄目えぇぇっ!!」
 膣内を満たす清澄の体液を感じながら、彼の腕の中で渚も高みに達した。

 ああ、こりゃクリーニングに出さなきゃ駄目だな。
 抱き合ったままベッドに横たわり、最初に清澄が呟いた言葉が、これだった。
「卒業式の時に……」
「はい?」
 渚は清澄の身体に、猫みたいに身体を擦り付けていた。
 ……どうでもいいけどこれ、癖になりそう。
 そんな渚の着ている学生服を、清澄は指差した。
「その制服、やるよ」
「第二ボタンじゃなくて……ですか?」
「それごと、全部だ」
「はい」
 嬉しさで、いっぱいになった。


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