三姉妹は見た!
三女編






三姉妹の誕生日は日が近いこともあって、一度に祝われる。
そしてその会場は、三姉妹の家と、兄の彼女の家と、兄の幼なじみの家。その3つが毎年順番に開かれる。今年は兄の幼なじみの家だった。
パーティがあった夜は、その家に泊まることもお約束。
それがもう、10年以上も続いていた。

「ああっ、あんっ……」
夢を見ているようだった。
かすかに聞こえた声を頼って、夜、この部屋までやって来た。
「はんっ……ふぁ」
この二人が付き合っている……そういう関係であることは、十分にわかっていた。
自分の思いも断ち切って、二人の幸せを願って……
そうしてきた。
少し成長して、知識もついてきて。
好きあう二人がそういうことになるということも、漠然と知っていた。
だが、それを目の当たりにしたのは初めてだった。
しかも、その二人が……
「ふぁぁ……んんっ」
背の高い、大好きなお姉さん。梓川さん。
「くっ、んっ……」
小さな頃に思いを寄せていた人……水瀬のお兄さん。
割り切っていたつもりだったのに。
あれから、かなりの時間が経ったのに……
少女の中に、よく分からない感情が生まれていた。
(……嫉妬じゃない。けど……なんだろう)
二人の情事は実感のないもので……
まるで、ビデオか映画を見ているような気分だった。
(……ん……)
少女が自分の体の変調に気付くまで、さほど時間はかからなかった。
(これ、なに……)
つい先日まで、中学生だった少女。
彼女自身が周りにあまり興味を持たないこともあり、そのような行為にふけったことはなかった。
そういう話を同級生がしているのを聞いたことはあったが、何を言っているのかほとんど理解できなかった。
「……ん……」
小さく、声が漏れた。
水瀬と梓川の二人から目を離し、そっと自分のショーツに目を落とす。
見た目には変化がなかったが、確実に濡れているのを感じた。
(こういうもの、なんだ……)
戸惑うでもなく、驚くでもなく。不思議と少女は納得していた。
(……多分、これをいじると……気持ちがいいのね)
夢の中のような気持ちのままで、少女はそう考えた。
そしてまた、顔を上げたが……
(……あれ)
ベッドの上に、梓川の姿がなかった。
不思議に思っていると、
「見つけた」
目の前の扉が大きく開かれ、すぐそばに立つ梓川の姿があった。さっきまでと同じように、何も身にまとってはいない。
「……お姉さん」
「あんまり驚いてくれないね」
梓川は残念そうに笑うと、そっと少女の手を取った。
「さ……」
少女は抵抗することもなく、そのままベッドへと導かれた。
「ずっと見てたの……?」
水瀬が困ったように聞くと、少女は黙って頷いた。
二人は、何も身につけてはいない。
一人パジャマ姿の少女は、この部屋の中ではどこか場違いのように見えた。
「……あの……」
「そうだ」
少女が口を開いたと同時に、梓川が笑いかけた。
「一緒に、する?」
少女がその言葉を理解するのに、少しの時間がかかった。
そしてそれは、水瀬にしても同じことだった。
「梓川さん……」
困った顔の水瀬。
当然だ。自分の彼女がそんなことを言うなんて、思ってもみなかった。そもそも、少女をこの部屋に招きいれたことからして、彼の理解を超えていた。さらに、少女は中学を卒業したばかり……
「……まだ、したことないんでしょう?」
梓川は少女に優しく笑いかける。彼女自身、初体験はほんの半年前……大学1年のときだ。
「……はい」
予想通り、頷く少女。
どこか現実離れしているこの夜が、彼女の思考を鈍らせていた。
「水瀬さんのこと、好き……なんでしょう?」
水瀬も気付いていた。
少女の自分を見つめる瞳……その奥に感じられた想いを。
ただ、それに応えるには少女は幼すぎ、そして、梓川と運命とも思える再会を果たした。
少女に幾ばくかの申し訳なさを覚えながら、彼は梓川を選んだ。
「……はい。大好きです」
隠そうともせずに、少女は答えた。
「ありがとう……」
それに対して水瀬は、それだけしか言えなかった。言えなかったのだが……
「私も大好き。でもね……あなたのことも大好きなの」
梓川の言葉の意図するところがわからず、首をかしげる少女。
「だから……」
事態をなにも把握できないままに、
「……んむっ……」
少女は唇を奪われた。
「んん……」
じっと閉じていた唇に、梓川の舌の感触があった。
(……これ……入ってくるの……?)
しばらく経ってからその意図を理解し、少女は梓川を受け入れた。
遠慮がちに自分の口腔を探る梓川の舌。
自分のそれを重ねてみた。
「……んっ!」
少し驚いたような梓川。
もちろん、初めての感触に少女も戸惑った。
しかしそれも一瞬のことで、次第に二人は、その柔らかい舌を撫で合うように絡ませていった。
「……んん……」
足に力が入らず、思わずへたり込む少女。
梓川も同じように床に座った。
「はぁ、うんっ……」
それからまた、お互いを求め合うように、二人は唾液を交換し続けた。
その煽情的な光景を、水瀬は黙って見ていた。
唇を合わせながら、梓川は少女のパジャマに手をかけた。
次第にあらわになってゆく少女の肌。
袖だけを通したパジャマ、はだけられた肩。
小ぶりな胸がその姿を現す。
少女が顔を赤らめた。
それは自分の胸を見られることへの恥ずかしさなのか、それとも内から湧き上がる感情のためなのか……少女自身にも判断がつきかねた。
「ぷぁ……」
「……はぁっ」
ようやく、二人の唇が距離を取り戻した。
どちらのものともつかない唾液の雫が、ぽたりと少女の胸に落ちた。
「……ん」
ひんやりとしたその感触に、少し顔を動かす少女。
その様子を見て、梓川が優しく微笑んだ。
「……立って」
言われるままに少女は腰を上げた。
ぼんやりする頭をあえて晴らそうともせず、なされるままになっていた。
梓川の手が、パジャマのズボンにかかった。
そしてそれを、ショーツごと足元まで下ろした。
「ん……」
恥ずかしさに、目を閉じる少女。
対照的に梓川は、あらわになった少女の秘所を、まじまじと見つめた。
うっすらとある茂み。
まだ誰にも犯されたことのない場所。
思ったとおり、そこは湿り気を帯びていた。
軽く……本当に軽く、その場所をなでた。
「ひゃう……」
普段の彼女からは、想像もできない声……水瀬はそう感じた。
「…………」
どこか楽しそうに、梓川は同じ行為を繰り返してゆく。
「ふ……ぁ……」
少しずつ、息が荒くなってゆく少女。
比例して動きを増してゆく、梓川の指。
「……はぅん!」
勢いよくこすり上げると同時に、少女の体に電撃が走った。
支える力を失った少女の体を、梓川が優しく抱きとめた。
「気持ちよかった?」
「……よく、わかりません……」
小さく、少女の声が聞こえた。
パジャマのズボンを脱ぎ捨てる。
梓川は少女をベッドに腰掛けさせると、その前にひざまずいた。
「股、開いて……」
「…………」
一瞬の戸惑いの後、素直に少女はその言葉に従った。
そして、その中に顔をうずめる梓川。
くちゅくちゅと湿り気を帯びた音が聞こえてくるまで、そう時間はかからなかった。
「ん……んうっ……」
羞恥に顔を赤らめる少女。
普段余り表情を出さない少女な分、余計にこの部屋の非日常さに拍車がかかっていた。
「……水瀬さん、胸、さわってあげてください」
少し顔を上げ、梓川が言った。
「「え……」」
水瀬と少女、二人の声が重なった。
数瞬のあと、水瀬はまだ戸惑う少女の胸に手を伸ばした。
ふに……
「ひゃん!」
少女の高い声が、部屋に響いた。
すでに敏感になっていた少女のそこは、ほんの軽い接触でも十分に刺激を与えた。
(い、今の……なに……)
戸惑う少女に、梓川が微笑みかけた。
「好きな人に触られるのって、気持ちいいでしょう?」
頬を赤らめ、少女は頷いた。
さっき感じたそれは、紛れもない快感だった。
「もっと、さわってあげてください」
「うん……」
先ほどの声に驚いて中断していた胸への愛撫を、水瀬は再開した。
それを見て、梓川も再び少女の股へ顔をうずめる。
梓川の柔らかい舌が、割れ目をなでる。
水瀬の温かい手が、乳房を小さく踊らせる。
少女は2箇所から来る快楽の波に、次第に何かが高まっていくのを感じた。
(……あ、だめ……)
正体の分からないそれに、必死で耐えていた少女。
だがそれも、2人の愛撫の前には時間稼ぎにしかならなかった。
梓川の舌が少女のそこに侵入した瞬間、
「……ひゃぁん!」
大きく体を反らし、少女は絶頂を迎えた。
愛しそうにそれを見つめる2人は、交互に少女に口づけをした。
梓川の唾液と少女の粘液が混ざり合ったそこは、ひくひくと小さく痙攣していた。
ベッドに仰向けに倒れこんだ少女は、焦点の合わない目で天井を見ていた。
「ねえ、水瀬さんと……したい?」
そんな彼女に、梓川が耳打ちをする。
「梓川さん……」
困った表情を見せる水瀬。
決して少女のことを嫌っているわけではなく、梓川がそれを良しと言うのが複雑だった。
「どうしてもって言うのなら……今日だけは、いいよ」
ゆっくりと、優しく少女の髪をなでる梓川。
少し指にからまっていた少女の粘液が、彼女の髪を少し濡らした。
「お姉さん……」
少女は目を細め、梓川のほうを見上げた。
「女の子にとって、初めての人は、すごく特別なものだから……」
自分の愛する人が、自分の好きな子の特別になるのも良いかも知れない。そう思った。
水瀬に対する信頼と、少女に対する愛しさからくる提案だった。
「誕生日プレゼント」
微笑む梓川に、
「私……」
少女は夢を見ているような表情で答えた。
「したい……です」
小さく、しかしはっきりと少女は言った。
「うん、わかった」
梓川は顔を近づけると、そっと少女に口づけした。
「……というわけです。水瀬さん」
その声に含まれるものを、水瀬は感じ取った。
信頼。愛情……それに、少しの楽しみが混じった声。
「うん」
もちろん、自分の心も梓川から離れることはないと分かっていた。
大きく頷くと、水瀬は少女の目を見つめた。
少しの緊張と、不安と、期待。
感じ取ったすべての想いを受け入れ、梓川と同じように少女の髪をなでた。
「……しようか」
その言葉にぴくっと体を震わせ、少女は小さく頷いた。

「痛かったら……言って」
「……はい」
ベッドの上に少女を寝かせると、水瀬はその上に覆い被さった。
梓川はその隣に座り込み、二人の表情を見つめていた。
「いくよ……」
緊張した面持ちのまま、少女は黙って頷いた。
つぷ……
すでにあてがっていたそれを少し進める。
「……んっ!」
潤滑油は十分にあったものの、やはり進入は困難だった。
「力抜いて……」
言われて試みるものの、上手くいかなかった。
水瀬は、梓川のときと同じように、少女の唇をふさいだ。そして、自らの舌を侵入させてゆく。
「ん……」
先ほどと同じように、少女も舌を受け入れる。
しかし今度のそれは梓川のものとは違い、大きな動きで口腔を犯していった。
(お兄さんの……)
唾液を交換しているというその行為が、少女の中で緊張を和らげ、快楽を増していった。
そのお陰か、水瀬は自身をもう一段階奥に進めることができた。
その先にある、小さな抵抗。
最後の最後で、まだ迷いがあった。
唇を離し、少女の瞳を見つめる。
「お兄さん……お願い、します……」
その意図を察したのか、目尻に涙を浮かべながら少女は言った。
水瀬は小さく頷くと、小さな抵抗を破って少女の中を進んだ。
「うんっ……!」
痛みに顔をしかめる少女。
だが心配そうに見つめる水瀬に、
「……大丈夫、です……から……」
健気な言葉をつむぐ。
シーツに小さく広がる赤い染みが痛々しい。
狭く、温かい少女の中。
ともすれば、あっという間に果ててしまいそうな気持ちよさがあった。
少女が慣れるまで、その動きを中断する。
「お兄さん……抱きしめて、いいですか……?」
しばらく少女が苦しそうに言った。
「いいよ……」
水瀬が頷くのを待って、少女は自分の腕を水瀬の背中に回した。
「ん……」
水瀬が想像したよりも強い力で、少女は思いっきり抱きしめてきた。
少女は無意識のうちに爪を立てていたが、水瀬はその痛みを表情に出すことはなかった。
しばらく立つと、少女の痛みが和らいできた。
少し中が楽になるのを感じ、水瀬は少しずつ奥へと進めた。
「ふあ……ん……」
ぽろぽろとこぼれ落ちる涙。
痛みと嬉しさの混じった、それは、少女の頬を伝ってシーツへ落ちていった。
ゆっくりと時間をかけ、ようやく2往復したところで、水瀬は自身を引き抜いた。
「あぅ……」
痛みから解放され、少女は水瀬の体を締め付けていた腕を解いた。
くっきりと残った爪あとに、少しだけ血がにじんでいた。
「次は」
二人が息を整え終わらないうちに、梓川が口開いた。
「私も、見たいな……」
二人がその言葉を理解するのに、数瞬を要した。

「……あっ」
ベッドに腰掛けた水瀬が自身を挿入したとき、少女は声を上げた。
まだ痛みの残るそこ。そして、M字に開かれた少女の両足。
隠すものは何もなく、少女の秘所を晒していた。
その割れ目に水瀬がゆっくり浸入していく様子を梓川はじっと見ていた。
「……や……んっ」
痛みよりもその恥ずかしさが勝っていた。そしてそれは、少女を高みに導いていく一つの要因になっていた。
「んん……」
熱い息を吐く少女。
先ほどとは違い、少しだけ余裕があった。
その余裕に入り込んでくる感覚は……紛れもない快楽。
水瀬もそれを感じ取り、少しだけ自身の挿入を早めた。
目の前にある少女の髪が、いい香りを放つ。
その髪に隠れた耳たぶを、水瀬はなめあげた。
「ひゃうん!」
思わぬところからの刺激に、少女が声を上げた。
「私も……」
梓川はその様子を見て小さくつぶやくと、ゆっくりと二人に近付いた。
そして、
「うっ」
「ふぁん!」
新たな刺激が、二人を襲った。
少女がその刺激の源に目をやると、梓川が結合部に舌を這わせていた。
(ちょっと、血の味がする……)
それを味わうようにして、梓川は丁寧に舌でその部分をなぞった。
「はぁ、ああ……」
その刺激が、急速に少女を高めていった。
そして……
「はあぁんっ!」
ぴくぴくと体を震わせ、少女は絶頂を迎えた。
「う……」
いくらなんでも中はまずい。
水瀬は、ギリギリのところで少女から己を抜いた。そして、
どくっ
大きく脈打ったそれは、一気に欲望を吐き出した
「きゃ……」
そしてそれは、その動きを予想していなかった梓川の顔を白く汚した。
二度三度、勢いよく放たれたそれが、梓川の胸元をも汚す。
それが収まった頃、二人は大きく息を吐いた。
「……顔にかけるなんて、ひどいです」
ティッシュでそれをぬぐいながら、梓川は水瀬に言った。
「ごめん……」
少女の股を拭きながら、水瀬は梓川に謝った。
どういうわけか、少女は気絶してしまっているらしい。
「でも、梓川さんもやりすぎだと思う……」
そんな少女を見て、水瀬は言った。
「……少し、反省してます」
少しは自覚があったのか、梓川が言った。

「「ふぁ……」」
少女にパジャマを着せ、自分たちも寝る用意をしたところで、二人同時にあくびが出た。
目を合わせ、微笑み合う二人。
思いがけず長い夜になった。
最初で最後の、三人の夜。
やはり三人で使うと、少しベッドは狭かった。
春は目の前とはいえ、まだ少し寒いような、そんな夜。
お互いの体温を感じながら、静かな眠りに落ちていった。

「誕生日、おめでとう」


三姉妹は見た! おわり


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