奥様は同級生
分岐部分






1.一緒に気持ちよくなるって言うんなら……

 雄治は加奈にキスし、すぐに顔を離した。
「ゆ、ゆー君……?」
「それはそれで魅力的な提案だが、一緒に気持ち良くなるって言うんなら……」
 雄治は加奈の手を取ると、自分の股間に押し当てた。
 膨張し、熱を持った存在が加奈の手に触れる。
「あ……」
 雄治の言わんとする事が分かり、加奈の顔が真っ赤になった。
「だろ? 俺としてはさ、お前に気持ち良くなってもらうのが、俺にとっての気持ち良さにも繋がる訳で……そっちの準備はもう、さっきので出来てるよな」
「う、うん……いいよ。来て……」


 雄治はズボンの中から自分のいきり立ったモノを取り出すと、加奈の身体を引き寄せた。
「あっ……」
 加奈の腰から下が机の端からはみ出るが、雄治が片手で腰を固定しているのでそれ以上ずれる事はない。
「怖い?」
 雄治は少し心配になって、加奈に尋ねた。
 しかし、加奈は首を振ってクスッと笑った。
「ううん……ちょっとびっくりしただけ。こういうの、初めてだから」
 その笑顔には、一点の曇りも無い。
 加奈は雄治に絶対の信頼を置いていたし、それは初めて出会ってからこれまで、裏切られた事は一度もなかった。
「まあ、学校でする事自体、ほとんどないしな」
「ごめんね……ちょっと我侭言っちゃった」
「いいよ。俺だって、我慢してたんだし」
 加奈が感情に正直な分だけ、雄治は自分の理性を優先させる傾向があった。これはもう昔からそうだし、仕方のない事だと思っている。だって、そうでなければ誰がブレーキ役を果たすというのか。
 だから、普段抑制している分、一度解放された雄治の欲望は正直だ。
「加奈……行くぞ?」
「うん……いいよ」
 雄治は自分のモノを加奈の秘処に押し当てた。
「んんっ……!」
 先刻の愛撫で加奈のそこは充分濡れそぼっており、雄治が腰を押し出すと雄治のモノを包み込むように迎え入れた。
「は……あ、ああぁぁ……は、入ってくるよぉ……」
 雄治の熱いモノがゆっくりと侵入してくる感触に、加奈が声を震わせる。
 久しぶりの感覚に、ついさっき達したばかりの身体が加奈の意思に関わらず、再び高みに昇りつめようとする。頭の中が白くなる……が、軽い絶頂を味わう寸前に、かろうじて雄治のモノが根元まで埋没した。
「はっ……あっ……ゆー君……いいよ、動いて」
「あ、ああ……」
 制服の上だけを淫らにはだけさせ、息を荒げる加奈の姿に雄治の興奮はさらに高まる。かれこれ二週間分の性欲が、ともすればあっけなく解放されそうになる。
 それを堪える為にも、雄治は慎重に腰を動かし始めた。
 しかし、加奈の身体と同じように極限近くまで感度の高まった雄治のモノは、下手をするとすぐに雄治の理性を上回ろうとする。
「ははっ……」
 思わず苦笑が漏れる。
「? どうしたの、ゆー君?」
「いや、やっぱり一回口で抜いてもらった方がよかったかなって思ってな。俺も我慢が足りないみたいだ」
「別に我慢しなくてもいいのに……」
「いいや、それじゃ、一緒に気持ちよくって事にはならないだろ。だから……」
 雄治は加奈に顔を寄せた。加奈も雄治の言わんとする事が分かっていたので、軽く唇を重ねる。
「ん……じゃあ、一緒に、ね」
「ああ」
 雄治は自分の唇を加奈の耳元から首筋に掛けて這わせた。
「ん……んふぁ……」
 弱い部分を攻められ、小さく熱っぽい吐息を漏らす加奈。右手で加奈の腰を支えつつ、左手で加奈の胸を愛撫する。
 左の乳首を舌で吸われ、右の乳房を手で揉みしだかれ、加奈の感度はいやがおうでも高まる。
「あ……ふあぁっ……」
 腰の動きはあくまでもゆっくりだが、その突きは大きく深い。一度奥を貫かれるたび、加奈の脳髄にまで響くような甘美な波が加奈の全身を襲っていた。
「あっ……あぁっ……や……ゆー君っ……」
 無意識に、加奈は上体を捻った。しかし雄治はいち早くその加奈の動きを察し、加奈の身体のバランスを取りながらさらに貫きを繰り返す。
「ん……んぅっ!」
 加奈が腰を捻った拍子に、内部を貫く雄治の突きの位置も変化した。さっきまでとは異なる角度で肉襞を雄治の雁が引っ掻く度に、加奈の身体の内奥から熱いモノが溢れ出す。
 加奈はそれに溺れそうになるが、胸の中の雄治の頭に腕を回す事でかろうじて正気を保っていた。だが、そこすらも、加奈の性感を高める役割を果たしていた。ピンと尖った乳首を甘噛みされると、加奈は長い黒髪を振り乱して悶えた。
「ふぁっ、あんっ、ゆー君、そこ、駄目ぇ……!」
 雄治の方も、加奈の内部全体が自分のモノに吸いつくような感覚に堪えるのに必死だった。乳房への愛撫を中断せず、さらに深く加奈の中へ腰を送り込む。
 舞台袖という狭い空間に、加奈の体臭と甘美な声が充満するような錯覚を覚える。それに酔うように、雄治はひたすら快感を求めて加奈の身体を貪った。
 雄治は腰を両手で固定し、腰の動きに没頭し始める。次第に、その動きは速く激しくなりつつあった。
「あっ、あぁっ、んっ、もう、私っ……我慢できな……あ、ああっ!」
「加奈……俺ももうちょっとだから……」
 雄治が我慢を堪えながら告げると、加奈は涙目になりながらも、何度も首を縦に振った。
「んっ……うんっ、ゆー君っ……早くっ……あっ、ああっ……やぁっ、ゆー君、ゆー君っ!」
 雄治は限界までピッチを上げ、何度も繰り返し加奈の中を貫いた。今すぐにでも放てるぐらい雄治も昂ぶっていたが、弓の弦を引き絞るように自分の限界をさらに追い詰めて行った。
 先に限界を迎えたのは、加奈だった。いつもより大きく膨張した雄治のモノで、力強く一番奥を貫かれ続けては、たまったものでは無かった。
「あっ、ああっ、ダ、ダメ、私、わたし……あ、あっ、あっ、あっ、あぁっ……」
 加奈の声が断続的になり、その内部が急速に収縮を開始する。
 雄治はぐっと加奈の腰を自分に引きつけ、最奥に渾身の突きを見舞った。
「ああっ! ふあああああぁぁぁぁぁっ!!」
 加奈の身体が大きく反り返り、絶頂を迎えた。
 雄治の方ももう限界だった。加奈の子宮を押し上げながら、雄治のモノが最後の膨張を遂げる。次の瞬間、雄治は大量の精液を加奈の胎内で爆発させた。
 雄治は両手で加奈の腰を固定したまま、断続的に奥へ奥へと白濁液を送り込み続ける。
「あっ……あぁっ……熱っ……ゆー君の熱いの……流れ込んでくるの……はぁーっ」
 二週間分の欲望の固まりは当然加奈の中だけで収まるはずもなく、二人の結合部から次々と溢れかえって愛液と精液の入り混じった粘液質の液体がフロアを汚して行く。
「はーっ……はーっ……」
 豊かな胸を上下させ息を荒げる加奈に負担を掛けないように、雄治は机に両手をついて自分の身体を支えた。
 すっと、雄治の首に加奈の腕が回される。
「……?」
 よく分からない顔をする雄治の下で、加奈はやや疲労の混じった笑みを浮かべていた。
「いいから……」
「そう言ってくれると助かる……」
 ぜはーっと息を吐き出しながら、雄治はゆっくりと自分の身体を加奈に預けた。加奈も優しく雄治の身体を抱きとめる。
「重くないか……?」
「重いよ……けど、だからいいんだよ」
 雄治も加奈の身体に腕を回し、二人は繋がったまましばらく抱きあっていた。

「……家に帰って、まだするか?」
 雄治は後始末のティッシュの束を手に、「果たしてこれはどう処分すればいいのやら」と悩んだ。まさかゴミ箱に捨てる訳にもいかないし。
「うん。夕奈の退園時間までまだ間があるし、それまで二人で楽しめたらいいなーって思ってるんだけど」
 一方、加奈は加奈で机に腰掛けたまま、自分の汚れた下着を手に困っていた。ノーパンで帰れと? 試験期間中で、ブルマも家に置いたままだった。
「それより、さっさと着替えた方が良いぞ。いくら暑いからって、その格好のままだと風邪引くし」
 雄治はフロアに落ちていたスカートを拾うと、加奈に手渡した。
「うん。ありがと、ゆー君」
 スカートが皺にならなかったのは幸いだったかなーと加奈は思いながら、ブラウスのボタンを留めていった。
「また試験期間だねー」
「ああ。ところでどうする?」
「どうするって、何が?」
 加奈はよく分からない、という風に首を傾けた。
「今回の事で、いい加減分かった事がある」
 雄治はピッと人差し指を一本立てた。
「うん?」
「我慢は身体に毒な上、勉強の妨げになるって事。夫、高科雄治はここにルールの改訂を要求する。さて、加奈の意見は如何?」
 雄治の言葉に、加奈は諸手を上げた。
「全面的に賛成ー。ま、やり過ぎはよくないけどね」
「当然。ったく、どうするんだよ。昨日の料理が完全に吸収されてて、当分収まらないぞ、これ?」
「あは。家に帰ってからが楽しみだよ。じゃ、そろそろ帰ろっか」
 加奈はスタッと机からフロアに下りた。そして、お尻に手をやって、顔をしかめた。
「うー。お尻がスースーする……」
「何だ、結局ノーパンで帰るのか。大丈夫か、それ?」
「だって……気持ち悪いんだもん。しょうがないじゃない」
「バイクで送ってやりたい所だが……雨だし、風でスカートめくれたら後ろの車が事故起こすかもしれないからな」
「じゃ、先にゆー君の方が帰ってると思うから、先にお昼の準備しててね」
「ああ。ま、運動するし軽めのもんにしとこうか」
「うん♪」
 そんな事を話し合いながら、二人は一緒に舞台袖を出た。

 しばらくして。
 慌てて雄治が戻って来た。
「電気忘れてた。それに換気扇」
 雄治がパネルのスイッチを押していくと、舞台袖が薄暗くなり、空調の音も消えた。
「これでよし、と」
 そして今度こそ本当に、雄治も部屋を出た。


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