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 秋陽高校、木造の旧体育用具室は、『金髪凶眼』こと間垣朗(まがき あきら)の領域(テリトリー)だった。
 雑草の中に打ち捨てられたその小屋は、以前の『所有者』からぶん取った彼以外、出入りする者はいない。
 正確には、つい先日まではいなかった。
 そのもう一人のお陰か、以前は埃っぽかっただけのそこは、意外に清潔だった。照明だって点く。
 朗はマット(これも『もう一人』によってハタキを掛けられ、充分利用に耐えるようになった)に腰掛け、時計を見た。
 ほぼ同時に、扉が開いた。
 顔を上げると、一人の女生徒が荒い息を吐きながらそこに立っていた。
 ワンレングスの黒髪に、涼しげな目元の下を走ってきたせいか紅潮させている。
 朗のクラスメイト、木吉静香(きよし しずか)だ。
 朗は、改めて時計を確認した。
「一分ちょうど。すげえな、新記録だ。残り九分……いや、帰り時間を入れると七、八分ってとこか。で、どうするよ。前の時間みたいに飲みたいのか? それとも……ああ、いや言わなくても分かった」
 朗は手で彼女を制した。
「……うん、したい」
 後ろ手に扉を閉めながら、静香は頷いた。
「そりゃ構わねえけど、時間ないぞ? お前にだって準備ってもんがあるだろ」
「必要ないよ……そのままいけるから、ほら……もう、こんなに濡れてるから」
 言うと、静香は自分のスカートの裾を両手でつまんだ。
 ゆっくりとスカートがまくり上げられる……太股……股間……下腹部まで、丸出しになった。
 静香は、下着をはいていなかった。
 軽く足を開いていた為、薄い恥毛と濡れた秘唇まで朗に丸見えだ。
「……おいおい、お前これ、いつからだ?」
 朗はマットから立ち上がると、自分の尻をはたいた。
 その間も、静香はまくったスカートをつまんだまま、朗に恥ずかしい個所を晒している。
「さっきの時間からずっと。朗君のを飲んでた時からで……我慢できなくて、授業中ずっと……自分でしてたの」
 熱っぽい声と共に、股間から愛液が溢れる。
「馬鹿たれ。誰かに見られたらどうすんだ。自分の価値、分かってないだろ? 弱み握られて輪姦(まわ)されっぞ、マジで? それとも、男なら誰のだっていいのか、お前は?」
「そ、それは、やだ……朗君以外に抱かれたくないよ」
 無駄話をしている余裕はない。
 こうしている今も、刻一刻と時間は流れていく。
 しかし、朗の機嫌を損ねると、この時間は『お流れ』だ。
 今まで一度もそんな事はなかったが、もしそんな事になったら……静香にはあと一時間、耐える自信はなかった。
「だったら、授業中になんかするな」
「で、でも……我慢できなかった、から……」
 早く、と静香が目で訴える。
 それは、朗にもしっかりと伝わっていた。
「……そういう時は、保健室にでも行け、タコ。ったく、成績いいくせに、こういうところは頭回らねえのか」
 静香の目の前に立った朗は、ポケットに突っ込んでいた手を出した。
「ごめん、なさい……今度から、気をつけるから……」
 自然と、静香の目はその手を追う。
「ちっ、分かりゃいいんだ……それで、下着はどうした?」
「使い物にならなくなったから、ポケットに入れてるよ……あっ、んぅっ……あ、朗君?」
 言葉の途中で、朗は静香の腰に手をやっていた。
「時間ねえんだ。ほら、壁に手を付いて、足広げろ」
「う、うん……立ったまま?」
 言われるまま、身体を反転させながら、静香は尋ねた。
「脱いでる時間がねえし、そのまま寝転んだら皺になるだろうが。ほら、早くしろ」
 剥き出しになった静香のお尻を、朗は軽く平手で叩いた。
「っ! あ……い、入れて、朗君……」
 く、とお尻を持ち上げながら、静香は朗が入れやすいように足を開いた。
「叩かれて感じてんのか、お前?」
 何度も、朗は強く静香のお尻を叩く。
 スパンキングを繰り返しながら、朗は自分のものをズボンから取り出した。
「ん……気持ちいい……あ、あああぁぁっ!」
 いきなり侵入してきた肉棒の熱さに、静香は高い声を上げる。
「お前、最初からいやらしかったのが、どんどんひどくなっていってるな」
 最初から、朗は容赦なく抽送を開始した。
 一時間分、自慰によって高められた襞肉は彼のモノをなんなく迎え入れる。引き抜かれ、貫かれるたびに激しく肉と肉がぶつかる。その強い感覚も分泌された粘液を掻き混ぜられる水音も、静香は大好きだった。
「いやらしい娘は……きらい?」
 朗に強く犯される心地よさに酔いながら、この感覚が失われる事に静香は恐怖する。
 自然、泣きそうな顔になりながら、静香は朗に尋ねた。
「……そうでもない。ほら、こっち向け」
 何をされるのか悟った静香は、さらに首を傾けた。
 近付いてきた顔に、自分から唇を寄せる。
「んくっ……んむ……朗君、もっとちょうだい……朗君の唾……飲ませて……」
 鼻を鳴らしながら唾液を飲み下し、静香は何度もおねだりする。
「お前、毎回ねだるよな。そんなに美味いか?」
「うん、だって朗君のだから……煙草やめたから、ちょっと味も変わったね」
 唇だけでなく、頬や顎にも静香は舌を這わせる。
 朗は顔をしかめながらも、それを避けようとはしない。
「そこまで分かるかよ」
 静香に顔を好きなようにさせながら、朗は腰を勢いよく突き上げた。
「ふぁっ! あ、朗君!」
「しっかり手で支えとけよ。激しくいくからな」
「ん、うんっ、激しくっ、壊してぇっ……朗君の好きにしていいからぁっ!」
 目の前に見えるのは、木の扉だけ。
 その分、静香は後ろから彼女を犯してくれている朗の動きに集中出来た。
「好きにしていい? じゃあ、誰かに買ってもらうか。お前、人気高いらしいから、いい値段で売れるぜ?」
 言葉の槍が、静香の心臓を貫く。
「いや、いやぁ……朗君のがいいのぉ……朗君の以外、欲しくないぃ……」
「言いながら、中は正直に締め付けてるじゃないか、淫乱」
「ひぐっ…ゃ、やだよぉ……朗君、私の事、嫌いなのぉ……?」
 涙を零しながら、静香は朗に懇願した。
 淫乱症(ニンフォマニア)。それが、保健医の門脇菜織(かどわき なおり)が下した静香の診断結果だ。
 朗を誘ったのも静香が先だ。
 様々な過程をすっ飛ばして、深い肉体関係から始まった朗との関係だが、今ではもう離れる事など絶対に出来ない。確かに静香は淫乱だが、羞恥心だってあるし、他の男に抱かれるのは嫌だった。
「……だってお前」
 朗の手が、前から股間に忍び寄る。
「んあぁっ!」
「一日最低五回だぜ? 治療も進まねーまま、どんどんひどくなって来てるし。普通、休み時間中にしようと思うか? こっちの身体が保たねーよ」
 肉と肉の打ち合う音が用具室内に響き渡る。
 静香は力任せに腰を使われながら、敏感な肉芽を乱暴も指で圧迫される。
「が、我慢するからぁ…っ…捨てないでぇ……」
「……ばーか。お前、本当に、我慢できると思ってんのか?」
「じ、自信ないけど……朗君が言うなら我慢するよぉ……だ、だから……」
「無理だ。お前に我慢なんて出来るはずがねえ。現に今だって腰振ってるじゃねーか。それ、止めてみろよ」
 言われるまま、静香は腰使いを止めようとした。
 けれど、朗のモノが根元まで埋まるたびに、あと一回あと一回と我慢を後回しにしてしまい、結局いつまで経っても動きは止まらない。
 情けなさに、新たな涙が溢れ出した。
「くぅっ……あ……ああっ……らめえ……れきらいよぉ……」
「そうだろーよ。ま、性質の悪い冗談だ。売ったりなんかしねーって」
 朗はより一層、静香と身体を密着させながら彼女の首筋を優しく舐めた。
「ほ、本当に?」
 安心した静香は振り返ると、朗に甘えるように何度も口づけを繰り返す。
「お前が望むなら、考えとくがね」
「やぁっ、やらぁ……朗君とだけするぅ……!」
 呂律の回らない口調ながら、静香はキッパリとそれを拒絶する。
 この、今自分の中を激しく掻き回してくれている肉棒以外に身体を捧げる気には、どうしてもなれなかった。自分の身体はもう、朗専用なのだから。
「しっかし、マジ回数増えてきてるんだよなー……ほれ、そろそろだろ? 俺も出すけど、飲むか? 膣内(なか)か?」
「なかぁ……っ!! いっぱい、静香のなか、いっぱいにしれぇっ!!」
 静香の膣内を乱暴に肉棒が行き来する。
 それに合わせ、壁に手をつきながら静香も懸命に腰を振るう。
「じゃあ……くれてやるよ、ほらっ!!」
 限界まで膨張した朗のモノが、静香の奥を一際強く突いた。
 次の瞬間、猛然と傘を開いたそれは、先端から白濁液が迸らせた。
「ふあぁっ! あっ、あぁっ、あああぁぁーーーーーっ!!」
 同時に静香も絶頂を迎え、髪を振り乱して高い泣き声をあげた。
 断続的に精を身体の奥深くに浴びせられ、その感覚に静香は意識を集中させる。
 腰を密着させながら、身体を硬直させた二人は絶頂を噛み締め合った。
「……落ち着いたか?」
 先に硬直を解いた朗は、静香と繋がったまま彼女の上体を自分に寄せた。
 ふるふると身体を震わせながら、静香は可愛く首を縦に振る。
「ん……はっ…ぅん……朗君、キス……」
 潤んだ目に、朗は拒む事が出来ず、彼女を唇を重ねた。
 虚脱した静香の身体が、朗にしなだれかかる。
「なあ、時間ねーんだぞ、お前……分かってんのか?」
 時計を見ると、残り二分。


「……ありがと、朗君……鎮めてくれて」
 壁にもたれ掛かり、最初と同じようにスカートを捲り上げた静香の股間を、朗は大慌てで清めていた。乱暴に丸まったティッシュが、床のあちこちに転がっている。
「礼はいいから、さっさと服整えろ。次の授業に間に合わなくなるだろーが」
 少々湿った下着も、朗は強制的に穿かせた。
 静香の場合、ノーパンのままだと放っておいても濡れる可能性がありえるからだ。
「う、うん……あ、でも、朗君のが……」
 静香の熱っぽい視線が、萎えた朗のモノに注がれる。
「んなもん、ティッシュで拭けばいいだろ?」
 朗は無愛想に、ポケットティッシュをもう二枚引っ張り出した。
 しかし、それで拭くよりも静香が屈み込む方が早かった。
「駄目ぇ……そんなの、もったいないよ。私が綺麗にするから、ね?」
「ば、馬鹿かお前!? マジに、時間間に合わなくなるぞ?」
 後ろに下がろうとしたが、遅かった。
「朗君が逃げると、本当に間に合わなくなるよっ……はむ……」
 腰にしがみついた静香は、躊躇なく朗のモノを口に含んだ。
「うぁっ」
 強く吸引し、尿道口に残った精液を飲み込んでいく。
「んっ…ぅむ…あ、あのね、朗君……」
「何だよ」
 声を震わせながら、朗は尋ねた。
 これ以上はヤバい、と思う。
 勃ったらこいつは絶対、第二ラウンドに突入しようとするに違いない。
「私、正直治らなくていいなって思うの……気持ちいいし……その、朗君さえ良ければの話だけど」
「お前、こんな事しといてそーゆー事言うか。ほら、もういいだろ?」
 朗は、強引に静香の頭を手で押し退けようとした。
「ゃん……もーちょっとぉ……」
 しかし静香もしつこい。
「じーかーんーだーっ! タイムアップ! 後でまたやってやるから!」
「……何回?」
 ようやく朗のモノを解放した静香が、期待に満ちた顔で彼を見上げた。尻尾があれば、多分勢いよく振っているだろう。
「……つーか、何回させる気だ」
「希望は五回」
 朗は、天を仰いだ。
「死ぬ。マジ死ぬ。干からびて死ぬ」
 今日だけで一体何回したと思っているのだ。
 静香とのセックスは嫌いではない。静香の事は可愛いと思うし、きっかけはどうあれ今はもう彼女に惚れてしまっている。
 だが、物には限度がある。
「うん……だから、三回ぐらい。家の門限延ばしてもらったから……朗君の家で、いっぱい、調教してくれる?」
 調教、という言葉に、静香は自分で心臓を高鳴らせた。
 まだ、授業があるのがもどかしい。
 早く授業が終わってくれる事を、静香は心の底から願った。
 誰にも邪魔されず、いっぱい朗に愛してもらうのだ。
「分かったから、早く行けよ、優等生。あと一分、ギリギリだっつーの」
「あ、うん。朗君も、早く来てね」
「分ーったから」


 五分後。
 大急ぎで汚れた物を始末した朗は、誰もいない廊下を急いだ。
 確かこの時間は先生が休みで自習のはずだが、プリントを持ってくる代わりの先生が粘着質で嫌な奴だ。
 そろそろ、いなくなっている頃だろう。
 教室の扉を開ける。
「もぉっ、間垣君、どこ行ってたの!? もう、授業始まっているんだよっ!?」
 いきなり、鋭い声が響いた。
「…………」
 朗は、頬を引きつらせた。
 どうしてやろうか、この女。
 いや、分かってはいるのだよ。
 真面目な優等生様の木吉静香さんと、不良の間垣君は敵対しています。
『ああいう関係』になったからといってコロッと態度を変える訳にもいかず、表面上の関係はこれまでとは変わらない犬猿の仲だ。
 クラスの皆はいつ自分が爆発するかと恐れているし、それに噛み付く静香に対して畏敬の念をもって眺めている。
 朗を強く睨む静香の目が、一瞬だけ済まなそうな表情に変化した。
 それに気付いたものは、クラスにはいなかったようだ。
 けど、やっぱムカつく。
「な、何?」
 朗の表情に気付いた静香が怯んだ。
「『二回』」
 ボソリ、と呟き朗は席についた。
「う……に、『二階』のどこに行っていたの!?」
「それ以上、ゴチャゴチャ騒ぐと『一回』な」
「ま、また保健室でズル休みなんて駄目なんだからっ!!」
「るせえ」
 ちょっと泣きそうな声で言う静香の抗議を聞き流しながら、朗は疲れた身体を休めるべく、自分の腕を枕にして眠る事にした。


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