留守番にゃんこは大暴れ
|
||||
「ん……」
陽光が目に染み、ミウは目を覚ました。 白いベッドには、彼女一人だけだった。 「リュースケー……?」 家主を求めて、ミウはほっそりとした身体を「うーん」と伸ばすと、ベッドを降りた。 素足でフローリングの床は、ひんやりと冷たい。 まだ眠たいのをちょっと我慢して、大きな釣り目がちの瞳を腕で擦る。 白いワイシャツはミウには大きすぎるが、これしか今のところ着る物がない。 長い漆黒の髪と同色の、バネでも仕込んでありそうな強靭な長い尻尾を軽く振りながらミウは部屋を見回した。 猫の耳で、物音を探るが既に家主は出掛けた後らしい。 「……つまんないの」 ミウは頬を膨らませた。 テーブルの上には、クロワッサンのサンドウィッチと空のコップが置かれていた。 『朝食は見ての通りテーブル、ミルクと昼食は冷蔵庫の中にある。 今日こそは悪さするなよ? 龍介』 ――それは、出来ない相談だった。 午後五時半。 長身の青年は時計を確認した。 流龍介(ながれ りゅうすけ)というその青年は、素早く十秒で帰り支度を完了する。 「お先に失礼しますっ!!」 周囲の人間が驚く中、龍介は有無を言わせぬ声で言うと、鞄を持って席を立った。 割と大きな通信社、社内の人間のほとんどはまだ少しばかり仕事が残している。社に出入りする人間の数も激しい。 普通なら、やや帰り辛い雰囲気だろう。 しかし、龍介は仕事を完全なまでに仕上げており、文句は誰にも言わせない。 土煙でも上げそうな勢いで、彼は会社を飛び出していった。 「……最近、早いな、流」 「まあ、仕事終わってるんなら、いいんじゃないですか?」 「あーあ、また飲みに誘えなかったよぉ」 「うーん、既にいい人いるんじゃないの?」 「ええっ、そんなぁ!?」 見送る上司や同僚達がこんな会話を交わしていた事など、彼は当然知る由もない。 人の多い国道沿いを駆け抜ける。 大きなガラスのウィンドウに、幾つものディスプレイが並んでいる。 見栄えをよくする為か、全部同じ内容だ。 『――話題になっているヒトとケモノが合体したような生物ですが――』 夕方のニュースに、龍介の足取りがわずかに緩む。 『――研究所の方では関連を否定しており――』 「……ま、そりゃ否定するわな」 龍介は再び駆け出した。 「ただいまっ!!」 全力疾走の影響、髪を乱しながら、龍介は自宅のマンションの扉を勢いよく開いた。 靴を脱ぎ、リビングに飛び込む。 「……」 部屋を眺め回す。 テーブルの上ではコップが引っくり返り、クッキーの箱が開きっぱなし。お菓子の欠片があちこちに飛び散り、クッションの中身が溢れ出ていた。本は開かれっぱなしで内容の側がテーブルにうつ伏せになっている。 テレビは先刻龍介も見たニュースが点きっ放しで、オーディオはクラシックを流していた。 ガクリ、と龍介は肩を落とした。 「……くそっ!」 壁に腕を打ちつける。 そして叫びながら、部屋をこんな状態にした元凶を探した。 「ミウっ!!」 寝室のベッドのシーツを勢いよく捲り上げる。 そのど真ん中に、ミウは丸く寝転んでいた。 「……んー? リュースケうるさいー……」 眠たそうな顔をしたミウが、目を擦りながら視線を龍介に向ける。 龍介はベッドに乗り上がりミウに近付くと、その襟を引っ掴んで持ち上げた。 「……お前、ありゃ一体どういう事だ?」 「どういう事も何も、しょーがないじゃない……一人だと退屈なんだから……」 「暇潰しするのはいい。やったら、後はちゃんと片付けとけつってるだろ? 本物の犬猫じゃねえんだから」 龍介は、ミウの猫耳を軽く引っ張った。 「やーよ……そんなめんどー臭い真似……」 「面倒臭いのは当たり前だっ!」 ミウは顔をしかめて龍介の手を振り払うと、今度は自分で両耳を押さえた。 「……大きな声で怒鳴らないでよ。近所迷惑でしょ?」 「一応、防音だ。それより学習能力ないのか、お前」 龍介は部屋に向けて、手を広げた。 「俺の部屋をこんなにして、何回怒られたら気が済むんだよ? 月曜日にお前を拾ったから、ええと……四回か?」 「分かってるんじゃない」 「やかましいわっ!」 「リュースケの方が、やかましいじゃないっ!」 「反省しろっつってんだよ!」 「だぁって、退屈なんだもんっ!」 「それが理由になるかぁっ!」 龍介とミウは睨みあった。 そもそも、ミウは(本人曰く)研究所から脱走した身なのだ。 迂闊に外に出る訳には行かないではないか。 「……リュースケも、一人になってみれば分かるわ」 「……大人しくテレビを見るとかいう選択肢はないのか?」 龍介を睨んだまま、ミウは点きっ放しのテレビを指差す。 「見てたわよ」 「『大人しく』」 「無理。あたし、猫だし」 プイッとミウは目を背けた。 開き直りやがった。 「……ほー、そういう態度に出ますかそうですか」 なら、と龍介はミウを押し倒した。 「きゃっ!?」 肩を押さえつけられ、ミウはとっさに動きが取れない。 「ちょっ、リュ、リュースケ!?」 「これより、お仕置きたいむに突入する」 「目! 目が据わってるってばリュースケっ!!」 「やかましい」 股間を蹴り飛ばそうとするミウの膝を器用に避け、足の間に下半身を割り込ませる。 「きゃうっ!? ら、乱暴にしないでよ!」 「いー加減、口で言っても聞かないような奴は、身体で躾けるしかないだろうが。主従関係ってのを、教えてやる」 「そ、そりゃ、あたし、家賃は身体で払うって言ったけど……」 「そうそう、そうだよな。ペットがご主人様が留守の間に悪さする事もある」 ミウを両手首を押さえつけたまま、龍介は肉食獣の笑みを浮かべた。 「そ、そうよね?」 「悪いペットは、キチンと躾けるのが飼い主としての義務だと思わないか?」 「思わな……んんっ……」 のしかかった龍介は、強引にミウに口付けた。もちろん、ミウは抵抗する。しかし、噛まれるより前に、龍介はミウの口を強く吸いつつ、膨らんだ股間をミウのそこと密着させる。 一瞬、そっちに気をやられたときにはもう遅かった。あっという間にミウの舌は龍介に絡め取られ、彼の舌に踊らされていた。 龍介の下でミウは暴れるが、激しく唾液の跳ねる音がして五分後、彼女は荒い息を吐きながらすっかり大人しくなっていた。代わりに、顔は涙と涎でべとべとになっていたが。 「……ちょっと甘やかしてたかもな。ミウ、お前ちょっと調子乗りすぎ」 龍介は口元の唾液の残滓を腕で拭った。 「ん、ぁ……リュースケ、もっと……」 「お仕置きだから、お前の意思はすべて却下する」 甘えた声を上げながら腕を伸ばしてくるミウに首を振り、龍介はあくまで自分主導で愛撫を続けていく。首筋や鎖骨を撫でられ、再び弱々しい抵抗を試みるミウ。 「やぁっ……鬼、悪魔、鬼畜ぅっ!」 徐々に我に返ってきたらしい。再び暴れ始める。 「半分畜生が何を言うか。ちなみに謝るなら今の内だぞ?」 「……ふん」 そっぽを向くミウ。 「……よぉし、分かった。お前が根を上げるまで、徹底抗戦と行こうじゃないか」 龍介は、布地越しの薄い胸に吸い付いた。 手を押さえながらなのでどうにも動きにくいが、ここを押さえておかないと彼女に引っかかれる。 「へ、平気よ……この程度」 強がる割には、龍介の舌が肌を這うたびに、ミウの声は震えていた。 「へぇ……その割に、もう立ってるみたいだけどな」 白いシャツに透けて見えるピンク色の突起を龍介は口に含んだ。強く吸うと、ミウの身体が小さく跳ね上がる。 「せ、生理現象なんだからぁ……っ」 「まあ、俺にとってはどっちでもいいんだけどな。懲らしめるためにやってるんだし」 言いながら、龍介は唾液でワイシャツをミウの肌に貼り付けていく。次第にミウ自身の汗でも、シャツは透けていっていた。 「うそ…っ…つきぃ……楽しんでるくせに……」 「いやいや、躾のなってないペットの仕込みは大変だ」 「顔……笑ってるわよ」 「まさか。気のせいだ」 龍介はミウのはだけたシャツを顔でどけると、直に口付けていく。 「リュ、リュースケぇ……」 唾液を肌へ浸透させていくように、龍介は丹念にミウの身体を舐めていく。 ……猫の毛繕いかよ。 自分のやってる事に苦笑しながら、さりげなくミウの下半身に視線をやった。 ミウは、龍介に身体を舐められるたびに腰が疼くのか、落ちつかなげに足が揺れている。 「んー? もう音を上げたか」 挑発すると、カチンときたようだった。相変わらず、分かりやすい。 「くっ……だ、誰が……ゃっ、み、耳に息吹きかけないでよ」 一瞬芽生えた対抗心を、耳への一吹きで萎えさせる。 「耳が遠いみたいだからな。口を近づけてるだけだ」 囁きながら、それこそ本当の毛繕いのようにミウの耳を舌で整えていく。 「だ、だったら舐める……ん……にゃ、ぁあっ……っ!」 涙目になりながら、ミウは短い声を上げ続ける。 「なら、耳はやめとこうか」 「む、胸も駄目ぇっ……」 しかし、龍介は容赦しない。大きな身体でミウを拘束しながら、上半身を余す事なく愛撫していく。 「繰り返すが異議は認めない……お仕置きに文句を言われてもな」 もう、腕を拘束する必要もないほどミウは弱っていた。荒い息を繰り返しながら、胸を上下させている。 龍介は、虚ろになっているミウのシャツを脱がせると、うつ伏せにひっくり返した。 今度は、うなじから背中に掛けて舌先をなぞっていく。 汗ばんだ肌から、雫がいくつもシーツへ落ちる。股間からも、滴るほどの愛液が溢れ出していた。 「ん、にっ……あ、ホ、ホントに、あ、ん……我慢できないんだからぁ……んんぅっ」 「お前、弱いとこ多すぎ。まだまだ、するぞ」 舌は、腰から尻の割れ目に辿り着こうとしていた。 「あ……はぁっ……ゃあ……いやぁっ……」 「やだと言われてやめる俺じゃない」 龍介はそのまま、顔を下ろしていった。 ミウの恥毛は薄い。 龍介は浅く開いた秘処を割ると、熱を持った愛液を啜った。 「せめて、服脱いでよぉ……あたしだけなんて、不公平だよ」 ミウが顔を半ばベッドに埋めたまま訴える。 「……それは、まあそうだな」 龍介はネクタイを緩め、自身のボタンを外していった。 「ぁ……」 ミウは、初めて自分の要求が叶えられたのがそんなに嬉しかったのか、安堵の声を漏らした。 「……べ、別に、お前のいう事を聞いた訳じゃないぞ」 「ん……分かってるけど」 龍介の目の前に、細い指が現れる。 その指は、小さな豆を軽く弄り、軽く腰を振動させた。 「こ、こらっ!」 しかし、ミウの指は止まらない。 「いいよ、お仕置きして……でも、あたしも自分のしたい事するんだから」 「却下」 龍介は慌てて、自身を慰めるミウの手を退けた。 指先と秘処の間で、透明な糸を引く。 「こ、これも駄目なのぉ……?」 「駄目だ……ったく、言っとくけど今日は、マジに甘い顔するつもりないからな」 やや不恰好な体勢のまま、龍介の手がミウのしなやかな尻尾の根元をつかむ。途端、その尻尾が鞭のように跳ね上がった。 「ぅんっ……ぁ……は……尻尾、はぁ……あ、んんぅっ!!」 ミウの割れ目から軽く愛液の飛沫が飛び、龍介の顔を汚した。 軽く達したミウに構わず、さらに龍介の口はミウの蜜を吸っていく。 「弱いんだよな……あっという間に、砕けちまう」 「ん、そんな事ないわよ……まだ、こんなに元気だしぃ……」 上体のくねりだけで前に逃れようとするミウ。 しかし、龍介の手が尻尾を根元から先端まで滑ると、ミウの全身の毛が逆立った。 「虚勢を張るなっての」 龍介は、ミウの下半身にもう一方の手を這わせた。 腰も太股も、もう力はない。かろうじて膝で支えてはいるものの、龍介が足を広げればそのままベッドに落ちてしまうだろう。 「きょ、虚勢なんて……張ってないわよ……」 「ほーう」 それでもなお意地を張るミウの秘処に、龍介は二本揃えた指を突き入れ回転させた。 「んっ、んんっ……あ、ん、くうぅっ!」 「二回目、と。じゃ、三回目行ってみようか」 親指で、肉芽への刺激も加える。 二度、三度と連続して達するミウ。 けれど、龍介は言葉通り容赦しなかった。 「は、にゃぁ……あ……」 シーツに水溜りのような染みが出来ても、なお龍介は舌と指を駆使してミウを責めた。 いつしかミウは仰向けになり、片足を高々と上げられたまま秘処の中を掻き混ぜられていた。 「……言っとくけど……まだ入れないぞ」 「ん……んんっ……これ、きらいぃ……しっぽぉ…ひたいし……」 ろれつの回らない口調で、ミウは腰をひねった。 「おっと」 だが、足首をつかんだ龍介はそれを逃がさない。 「くっ……こ、ころぉ……」 弱々しい力で、懸命に抵抗を試みるミウ。 その様子に、龍介はため息をついた。 「なあ、ミウ、ごめんなさいは?」 肉芽を親指の腹で弄りながら尋ねた。 「うあ……あ……ひんっ! ん……くぅっ……あっ……あ、くうぅっ……んんっ!!」 強い刺激に、尻尾が一本の棒のようになる。 しかし、ミウは口をぎゅっと閉じ、言葉を紡ごうとしない。 「ごめんなさい」 次第に強くなっていく龍介の親指。 ミウは、口を一文字に結んでいたが、やがて涙が一滴垂れると同時にそれまで堪えていたものが一気に溢れたように、嗚咽を上げて泣き出した。 「ん……ぁ……ああ……や、やだっ……やだぁっ……ひ、ぐぅ……う、うっ、うえぇぇ……」 「はーっ……なーんでそんなに頑固かな、お前は。泣くまで我慢する事ないだろうが」 龍介は、掴んでいた足の力を緩め、秘処からも指を引き抜いた。 ベッドに突っ伏してえぐえぐ泣くミウの身体を抱えると、膝の上に乗せた。弛緩している分、ミウの体重がもろに太股に掛かったが、さして重くもなかった。 「う、うっさいぃ……泣いてらんか…ぐすっ…ないわよぉ……」 胸板が涙と涎でべとべとになるのを感じつつ、龍介の手はミウの頭を撫で続ける。 「おい、お前、本っ気で悪気がないと思ってるのか? そこまで頭悪かったか? 俺は鈍いから口で言わなきゃ分からないんだぞ?」 「本当に……鈍感よぉ」 「あ?」 意味が分からんと、龍介はミウを見下ろした。 「馬鹿ぁ……」 「……馬鹿って」 いきなりミウの頭が跳ね上がったかと思うと、柔らかなものが龍介の唇に押し当てられた。 「んぅっ」 「ん!? ん……ぐっ……んむっ……んぁっ、お、お前……何をいきなり!?」 龍介は、乱暴で強引なミウの口付けを慌てて離した。 「……の」 よく聞き取れなかった。 「え? 何だって?」 「寂しいって言ってるの! じゃなきゃ、こんな事する訳ないでしょ!?」 「……お前が寂しいのと、部屋が荒れるのが、どう関係あるんだ?」 小さな拳で、胸板を叩かれた。 「〜〜〜〜〜っ!! 鈍感! 馬鹿! オタンコナス! 全部言わなきゃ分からないの!? 最初、帰ってくるの遅かったじゃない!」 「そ、そりゃ、俺だって仕事や付き合いがあるからな」 「だからぁ、迷惑掛けたら早く帰ってきてくれるでしょ!? 一人はやなの! リュースケに一緒にいて欲しいの!」 ミウは泣きながら、龍介を叩いた。 ゆっくりと、脳みそに、意味が浸透する。 「……」 「……本当に鈍感……」 拳の力が弱まった。 龍介は、とりあえずミウの頭を再び撫でた。 「……あー、つまり、そういう事?」 「……苛められてもいいよ……一緒にいてくれるなら、そっちの方がいい」 「そ、か……学習能力、実は無茶苦茶高かった訳ね」 思いっきり困りながら、龍介はミウのおとがいを指で持ち上げた。 ミウが、龍介をにらみつける。 「褒められても、嬉しくない……え? ……んぅ」 龍介は、ミウに軽く口付け、やっぱり困った。こういうのには慣れていない。 「悪かったよ。それに関しては謝る。けどなぁ、お前、だったら最初から素直にそう言え、この馬鹿。頭悪いから分からないんだよ。だから今からは、その罰な」 「また……罰?」 ミウを膝に乗せたまま、ゴロッと仰向けになった。 そのまま足を伸ばすと、ミウが龍介の腰に乗る形になった。 「俺は動かないから、こっからは自分でしろ」 「……どっちが素直じゃないのよぉ♪」 言いながらも、ミウの声はさっきとは打って変わって弾んでいた。尻尾が左右に揺れている。 「お互い様だろ。じゃ、仕切りなおしだ」 言って、龍介は手をミウの股間に忍ばせた。 まだ濡れているそこを、軽く引っ掛けるように指を挿入する。 「ん…く…っ……あ、あたしが動くんじゃなかったの?」 「準備はいるだろ」 龍介の動きにあわせ、ミウの腰も浮いてより深い快感を求めてくる。 「ん……んんっ……ふ、にゃ……ぁ……も、もっと……して……」 ミウの下半身が、龍介の剛直に沿って動くにつれ、愛液を吸った龍介のモノが膨張を遂げた。 「よぉし、ちょっとは素直になったな」 根元まで入った二本の指が、ミウの弱いところを捉えた。 「馬鹿ぁ……ん……そこ、いい……っ」 それこそ発情した猫のように、ミウの動きが活発になっていく。 けれどそれが本格化する前に、龍介はミウの中から指を引き抜いた。 「そろそろ、いいか?」 ミウはコクンと頷くと、下腹部に密着するほど反り返った龍介のモノに指を絡めた。 「ん……うん……自分で、入れるぅ……ん……くうぅっ!」 持ち上げ、自身の秘処に導くと、一気に体重をかけた。 熱い肉が、龍介のモノ全体を包み込む。 ミウは、それを根元まで自分の中に収めると、熱く大きな息を吐いた。 「お、おい、大丈夫か? 何も、そんな一気に挿れなくても」 「にぁ……はぁ……へーき……ん……動くから……」 ミウは龍介の胸に両手を置くと、まるで伸びをするように大きく、彼のモノを引き抜いていく。 外気にさらされた龍介自身が先端近くまで現れたところで、再び腰を押す。 根元に近づくとミウの腰が強く沈み、先端がコツンと行き止まりに当たる。そこがいいのか、ミウの動きは何度もそれを繰り返した。 「自分で言っといてなんだが、任せっぱなしってのは……」 「退屈?」 徐々に早まる動きにあわせ、ミウの長い髪が揺れる。 乳房は慎ましいが、それでも身体が上下するたびに乳首も軽く上げ下げを繰り返していた。 「だと思ってたんだけど、なかなかいい眺めだ……っておい、動きが緩んでるぞ」 「爪、立てるわよ」 ちょっと拗ねたような顔で、軽く立った爪が龍介に脅しをかけた。 「悪かった。冗談だ。立てるな本当に立てるな」 「恥ずかしいんだからね……ったくもー……お、大きくなってるし……」 ミウは、恥ずかしげに頬を染めながら、自分と龍介の繋がっている部分を見下ろした。 「我ながら、身体が正直なんだよ。手が出せないなら、口を出すかな」 「……屈む?」 答えが返るより前に、ミウの身体は倒れ、龍介に覆いかぶさった。そのまま唇を求めてきたので、龍介も拒まなかった。 「そういう意味じゃなくて……ん……いや、これはこれでいいんだけど……腰の動きをな」 「え……ん、こ、これだけじゃ、駄目?」 龍介の唇から顎、頬まで舌で舐め遊びながらも、ミウは下半身の動きを休めてはいなかった。龍介の機嫌を伺うように、より積極的に上下を繰り返す。 「俺はいいんだけど……そうだな。ちょっと『の』の時を書くみたいに動いてみな?」 「えっと……こう? ん、ちょっと変な感じだけど……」 ミウは、何ともいえない表情を作った。 ミウの中では、龍介の出っ張った部分が彼女の中を何度も斜めに引っかいていた。 いや、それはそれでいいんだが。 「……カタカナじゃない。例えば、こう、とか」 龍介は、ミウの尻を両手で鷲づかみにすると、大きく持ち上げた。 強く叩きつけると、ミウが素っ頓狂な声を上げる。 「ん……あっ!? リュ、リュースケ!?」 構わず、龍介はミウに腰使いのレクチャーを仕込んでいく。 何度も貫くたびに、ミウの顔が蕩けるようなものに変化していたが、それでもさらに龍介は腰の運動を続けた。 「強弱をつけたり……長さを変えたり……おや、どうした?」 「わ、分かっててやったでしょぉ……今、わざとやったでしょぉ!?」 絶頂寸前で止められ、ミウは龍介の首を噛んだ。 「悪かったから齧るな爪怖い痛い刺すな」 「うー……こ、このサディストぉ……ん、こうだったわね……」 少し落ち着くと、ミウは先刻の龍介の動きを思い出しながら、ぎこちなく、けれど忠実になぞり始めた。 「言いながら、やるんじゃないか」 「リュースケのためじゃないわよ……あ、あたしが気持ちよくなるためなんだからっ……」 ペースがつかめてきたのか、ミウの腰が速まってくる。それにつれて、狭い膣が龍介の肉棒を刺激する感覚も高まっていく。 「やっぱり素直じゃない」 「リュ、リュースケは……その……んぅ?」 龍介の手が、ミウの尻尾を捉えていた。 「だからこその、お前なんだけどな……で、こういうのは嫌か」 尻尾を上下にしごきながら、首を持ち上げ猫耳に息を吹きかける。 「……嫌…じゃない……あん……あぁ……あぁっ……!」 ミウはもう何も考えられないように、無我夢中に腰を振るっていた。 「おおい、自分も忘れるな」 「わ、分かってるわよぉ……ひあぁっ!?」 尻尾の根元を重点的に擦り上げると、ミウは高い声を上げた。 「ボンヤリしてると、一人だけでイッちまうぞ……ほら、尻尾のここが弱いんだろ?」 「あ、う、うぅー……リュ、リュースケぇ……これ、動きにくいー」 「んー、まあ頑張れ」 やめるつもりは微塵もなかった。 そもそも動きにくいと言いながらも、二人の耳に届くぐらい大きな音が繋がっている部分から響いているのだ。 「は、あ、あぁっ……そ、そんな事言われたってぇ……ん……んぅっ……!」 ミウの腰が、上下運動を続けながらぐるりと回転する。 「うぉ……?」 たまらず呻く龍介に、ちょっと得意そうな笑みを作りながらミウはさらに調子に乗った。 「くっ……んん……ど、どうよ……」 腰をうねらせながら、ミウは小さな突起と滑らかな肌を龍介にこすりつける。 「や、やるじゃないか……なら」 龍介は、ベッドのスプリングの反動を利用して、自分でも大きく腰を動かし始めた。 「あっ……ちょ、あたしが……動くんでしょぉ……ゃ、これっ、駄目だってばぁっ……!」 「んな事言いながら、器用に締め付けてんじゃないぞ、こんにゃろっ」 口喧嘩のようなやり取りを続けながらも、時々ふと思い出したように、二人はキスを繰り返した。 息と唾液が互いの口を行き来し、その間隔が次第に短く顔の距離は近いまま、それ以上離れようとはしない。 「そ、そっちが悪いんでしょ、この俺様男っ……ん、あっ、はあっ……ぁんっ! ゃ……も、もぉっ……リュースケぇ……っ!」 「一つ提案……」 互いの腰の動きを一致させたまま、龍介が言う。 「はっ……あ、わ、和解?」 「意地、まだ張れるか?」 ミウの顎に滴った涎の雫を啜ると、彼女自身が顔を下げ龍介の舌を吸った。 しかしすぐに顔を上げ、快感に支配された表情で腰に最後のスパートをかける。 「中途半端に優しいんだから……くっ……あっ、あんっ、にゃ、あっ、ああぁっ!」 龍介もそれに合わせ、限界まで腰を振るう。 「んっ……ミウっ……!」 ミウが、ギュッと龍介にしがみついた。 「に、ぁ…あぁ…っ……ああああぁーーーーーっ!!」 「く……っ……」 甲高い声を上げるミウを抱きしめ返しながら、龍介も彼女の最奥で精を放った。 龍介の腕の中で、ミウの身体が暴れる。 「あ、ああっ……リュースケぇ……ふにぁ……まだ、あ……出てるのぉ……んっ……んぅっ……!」 「ミウ……つめ……痛いっ……」 興奮のあまりか、龍介の背中にはミウの爪が浅く突き刺さっていた。 やがて落ち着いたのか、龍介の身体にミウの体重が掛かってきた。 「うー……これ、文句言わないでよー……リュースケだって力任せに抱きしめてくるし……」 言われ、龍介は腕の力を緩めた。 「お前、余韻台無し……あーあ、シーツズタズタだし……」 「リュースケだってそうでしょうが……」 ボヤきながら、龍介は自分の両サイドを眺めた。 暴れまわったせいか、シーツはミウの爪跡で修復不可能な状態にまでなっていた。 ミウはというと、龍介の肉のついた方にガジガジと齧りついていた。歯形が出来ると、それを小さな舌で舐めていく。 「噛むなっつーの」 「や」 本気で結構痛いんだけどなーと思いつつも、ミウなりの愛情表現と分かっているだけに強くいえない龍介だった。 翌日、通信社。 午後五時半。 「お先に失礼しますっ!!」 龍介は昨日と同じく、帰り支度を済ませて立ち上がった。 あっという間に、部署を出て行く。 土煙とドップラー効果でも現れそうなその速度に、まだ仕事の残る同僚達は呆然と呟く。 「……また、早いなぁ、おい」 「でも、仕事は完璧なんですよね……相手、そんなに時間に厳しいんでしょうか」 「ふむ、時間的に放課後か学校帰りでも……とかな。わはははは」 「ああっ、部長!! そんな事言うから、この娘落ち込んじゃったじゃないですか!?」 「おお、す、すまん!」 原因が分かったからには、部屋が荒れる心配もないだろう。 だから、街中を走っていても、その点は安心していられた。 だが、帰りが遅れるとミウが不機嫌になるのもまた事実。 昨日のような焦りはないにしても、龍介の足は自然と速まった。 結果的に、自分の部屋に戻ったレコードは、昨日を大幅に上回っていた。 しかし、部屋の中は予想外の状況にあった。 つまり。 「……」 部屋の中は、やっぱり昨日を大幅に上回る荒れ具合だった。 龍介は玄関にへたり込んだ。 「ミウぅ……」 龍介は恨めしさ全力で呟いた。 ガタ、と音が鳴って顔を上げると、そこには手にオタマ、エプロン姿のミウが首を振っていた。 「ち、違うわよ! これは、別に悪戯してたんじゃないの!」 龍介は一つため息をつくと、靴を脱ぎ、ミウに近づきながら部屋全体に手をかざした。 「じゃあ、何だよ、これは!?」 「え、えっと……その、ね……ご飯作っとこうって思って」 龍介はキッチンを見た。 黒焦げフライパン、吹き零れた鍋、何故か泡を吹いている炊飯器。 そして、龍介の見下ろした先には、真っ赤になりながら俯くミウ。 そういう態度に出られると、龍介の怒気が萎えてしまう。 「はぁ。で、この部屋の惨状は?」 「掃除……失敗したけど……あと、洗濯機、修理しないと駄目かも……」 「うーむ……と、とりあえず」 「うん?」 やめさせる訳にもいかないよなぁ……となると、処置は一つしかない。 龍介は、ミウの両肩に手を置くと、今日一番の深々としたため息をついた。 「……ま、今後の学習能力に、期待しとくか」 『あとがきへ→』 『ノベル一覧へ戻る→』 『TOPへ戻る→』 |
||||