メイドさんは仕事中






 夜も遅く、神塚亜衣(こうづか あい)は主人の部屋の扉をノックした。
 返事があってから彼女は扉を開いた。
「……失礼します」
 頭を下げると、ショートカットの黒髪が小さく垂れる。昨日は寝巻きでここを訪れた
が、今日の服装は仕事着、つまりメイド服のままだ。
 まだ高校には達していないだろう。小柄で大人しそうだが、どこか冷めた印象を受け
る女の子だった。
「ん。あー、もうこんな時間か」
 亜衣の主人である綾瀬川敏志(あやせがわ さとし)は、クッションに腰掛けながら、
うーんと伸びをした。
 水色縞のパジャマを着た、やんちゃそうな少年だ。歳は亜衣と変わらないだろう。
 胡坐を掻いた膝の上にはゲームのコントローラー。テレビでは、ゲームのデータ保存
がたった今完了した事を示していた。
「夜更かしです」
「はいはい、悪かったよ。でもしょうがないだろ? RPGなんて途中でやめる区切り
がつきにくいんだから」
「明日から、試験……」
 亜衣が言うと、敏志は耳を塞いだ。
「あーあー、忘れろ! つーか忘れたい!」
 そのまま立ち上がる。
「はい」
「そんな事より……寝るぞ」
 敏志はどこか硬い口調で、亜衣をベッドに促した。
「はい」
 亜衣は無意識に高鳴る心臓を手で押さえていた。


 ベッドに横たわる亜衣に、少年は覆いかぶさった。
「まあ、寝るって言ってもな……そういえば、亜衣は朝、大丈夫なのか?」
「割と平気です」
 苦笑する彼の顔が、徐々に亜衣に近づいていく。
「ふーん……無茶はしたくないけど、手っ取り早く済ませるなんて、出来ないし」
「それは、私も嫌です……んぅ」
 微かに顎をあげ、亜衣は敏志と口付けた。
「……はっきり言うなぁ。まあ、そこがいいんだけど」
 小さなキスから始まり、少しずつ舌を絡めていく。どちらも最初は遠慮がちだったの
が、次第に大胆になっていく。
「ん……ありがとうございます……は、ふぁ……」
 間近にある敏志の顔を見つめながら、亜衣は彼の手が布越しに自分の胸へ延びていっ
ているのに気がついていた。
 優しくマッサージをするような手つきが、まだ微かに強張る自分の身体をほぐしてい
く。
「大分、よくなってきた?」
「は、はい」
「ちょっと、膨らんできたかな」
 確かめるように、彼の手つきがいやらしくなる。
「ぁ……そ、それは……」
 自分で確かめた覚えはない。けれど、つい先刻、同僚にそれに近い指摘を受けたばか
りだったせいもあり、亜衣は自分の顔が火照るのを感じていた。
 これまで気遣いがちだった敏志の手が、明らかに彼女を感じさせようとしているモノ
に変わり、服の上からでも充分な刺激となって伝わっていた。
「これぐらいなら、大丈夫だろ。加減、ちょっと分かってきたと思うんだけど」
「は、い……ん……いいです」
 自然、身体が悶えるが、彼は亜衣の様子をちゃんと見て取っていた。
「服の皺は気にするな。俺が悪いし、これからもっと増えるんだから」
「はい……でも、着たままで?」
 脱がす様子がないので、亜衣は敏志に尋ねてみた。
「うん、してみる。嫌ならやめる」
「……ずるいです」
 他に言いようがない。立場的に、いいとか嫌とかいう次元の問題ではない。
「だよな。でも、本当に嫌な時は言えよ」
 彼は最後に真面目な顔をすると、亜衣に再び口付け、もう一方の手を乱れたロングス
カートの中に伸ばした。
「はい……は……あ……そ、そこは……んんっ」
 自分が濡れているのはもう、分かっていた。
 羞恥心が燃え上がるのを感じながら、それでも亜衣は敏志の指を受け入れやすいよう
に微かに腰を上げる。
「痛く……ないよな?」
 指が確かめるように、濡れた下着を這い回り、秘処の具合を探っていく。
「ぁ……は、はい……痛くないです、けど……っ…」
 敏感な場所を触れられ、下半身から電流が流れるような刺激が全身に伝わった。
「悪い。ん……もう、充分そうだな」
「あ……は、はい」
 彼女は、ベッドの下に大きな布が落ちる音を聞いた。
 潤んだ目が、彼の下半身を捉えた。いきり立った敏志のモノを見てしまい、思わず目
を逸らしてしまう。
「まだ、これ見るの怖いか?」
「……少し」
 そのままでいると、彼は亜衣の足の間に割って入った。
「もうちょっと腰上げて……そう、それでいい」
 彼の手によって、亜衣の下着は脱がされた。
「……」
 自分の恥ずかしい場所を、敏志が見ている。
 隠すわけにも行かず、亜衣は主人の視姦に耐えるしかなかった。身体の芯が熱くなる
のをどうする事も出来ず、秘処から愛液が溢れるのを止める術もない。
「あんまり見ないで欲しいって顔されてもな……亜衣のここ、綺麗だし」
「……っ!!」
 敏志に指摘され、亜衣は自分の顔を両手で隠した。羞恥のあまり、目から涙が溢れて
くる。
 しかし、彼は亜衣の手を取ると、ゆっくりと左右に大きく開くようにベッドに押さえ
つけた。
「……悪い。ったく俺、いつも謝ってばかりだな。でも、意地悪をするつもりじゃない
んだぞ?」
「はい……ん……あ……ああぁ……!」
 股間に当たる熱いモノが、徐々に自分を貫いていく。
 微かに仰け反り、声を上げる亜衣の唇を彼の唇が塞いだ。
 根元が密着するまで、敏志は彼女に口付けたままだった。鼻を鳴らし、舌を求めてく
る亜衣のなすがままにされていた。
 顔を引くと、敏志はジッと困ったような顔で亜衣を見つめてきた。
「……まだ、痛い?」
「もう……少しだけですから……」
 動きたいんだろうな、と彼女は察していた。
 しかし、亜衣の主人は予想外の行動に出た。
「なら……」
「あっ……!?」
 メイド服を着たままの彼女の身体に、敏志の腕が回されそのまま持ち上がる。
 怖くなった亜衣は思わず、彼にしがみついていた。
 胡坐をかいた少年と繋がったまま、亜衣は敏志と抱き合っていた。
「こういうのも……いいよな。試してみたかったんだけど」
「は、い……」
 対面座位、という言葉を亜衣は知らない。
 けれど、敏志の顔が間近にあって、その身体を抱き締められるこの体位は、嫌ではな
かった。
「もっと?」
「もっと……ギュッとして欲しい、です」
 亜衣は普段抑え付けている自分の欲求を、初めて口にした。
「ん、他にして欲しい事は?」
 嬉しそうな口調で敏志は、亜衣の要求に応えた。
 そのまま、彼は腰を動かし始める。
「あ……そ、その……」
 下から突き上げてくる、初めての快感に亜衣の口調がしどろもどろになった。
「了解……」
 けれど、見つめるだけで通じたらしい。
 唇同士が触れたかと思うと、あっという間に亜衣の舌は敏志に絡め取られていた。
「んぅっ……ん……くっ……! ふぁっ…んんっ…む……っ!」
 彼の身体を抱きしめながら、亜衣は送り込まれてきた大量の唾液を嚥下する。そして
お返しに自分からも敏志に自分の体液を送り込んだ。
「ふはぁ……うわ……頭クラクラする」
「はっ、はぁっ……わ、私も……」
 顔を離し、互いに大きく息を吐いた。激しさの余り、唾液の糸がまだ互いの唇同士を
繋がりあっていた。
 敏志の腰の動きも次第に大胆になり、その糸が大きく揺れる。
 自分からも動くべきかどうか、亜衣は迷った。
「もっと欲しそうな顔してる」
「……っ」
 見抜かれた。
 逸らそうとした顔を、再び荒々しいキスで封じられる。
「このまま……いいよな?」
「は、い……どうぞ……ぁっ……んっ……んぅっ……!」
 力強い突き上げに意識が飛んでしまいそうになりながら、亜衣は敏志の身体を抱き締
める事でかろうじてそれを堪えていた。
「亜衣も……」
 敏志に促され、亜衣もためらいがちに腰を動かし始めた。
 しかし、自分から腰を動かす恥ずかしさもやがて薄れ、繋がっている部分から愛液を
掻き混ぜる音を響かせながら、亜衣は高みへと上り詰める。それに伴い、敏志のモノが
膣内で一際大きく膨張を遂げる。
 互いの腕に、力がこもった。
「ふぁ……あ、ぅんっ……ん……んくっ、んんっ、ん〜〜〜〜〜っ!!」
 上と下の口に、同時に体液を注がれる。
 彼の唾液を飲み下しながら、亜衣は自分の奥に熱い液体が叩きつけているのを感じて
いた。痙攣を繰り返し、それが収まるまで亜衣も敏志の口を離そうとはしなかった。
「は、ぁ……空気うめー……」
 下は繋がったまま顔を離した二人は、同時に息を吐いた。
「っ……は……あ……?」
 亜衣は敏志の上から降りようとしたが、敏志の腕は強く亜衣を抱いたままだった。
「なあ、もう一回、いいか?」
 明日の試験は大丈夫ですかとちょっと心配になったが、口に出すわけにはいかなかっ
た。主人が求めていたし、何より自分も敏志が欲しかった。
「はぁ……はぁ……でも、あの……」
 一つだけ、改めて欲しい事があった。
「うん?」
「服……もどかしくて……」
 それだけしか言えず、けれど敏志は心得たように小さく笑いながら、彼女のリボンを
解き始めた。


「んー……」
 カーテンから漏れる朝の日差しで、敏志は自然に目が醒めた。
「おはようございます」
 ベッドの傍らで、亜衣はぺこりと主人にお辞儀した。メイド服に乱れた様子はない。
一度朝早く、この部屋を抜け出し着替えたのだ。
 ワゴンに乗った朝食の支度も整っている。
「ああ。ふわぁ……昨日はお疲れ様」
「……っ」
 何気ない敏志の言葉に、無表情な彼女の頬がさっと赤らむ。
「悪い。あ、そういえば亜衣、進路どうするんだ。もうじき聞かれるだろ」
「私はこの家に雇われていますから……」
 ためらいがちに、亜衣は自分の意思を伝えたつもりだった。
「義務教育だけで充分だってか? あのね、お前は俺の何だ?」
「メイドです」
 うんうん、と敏志はしたり顔で頷いた。
「そう、身の回りの世話をしてもらわなきゃいけない。うん、だから俺と同じ高校に行
ってもらう。親父が反対しても母さん説得すりゃ何とかなるだろ」
「ですが」
 この屋敷で働いているメイドの多くは、義務教育の後は学校に通っていない。
「『ですが』はなし。亜衣、自分が屋敷に働いている間に、俺が他の女のこと仲良くな
ってもいいのか?」
「……ずるいです」
 亜衣は、さらに頬が火照るのを、主人の制服の用意をする事で紛らわせようとした。
「うん、俺は公私混同するずるい男なんだよ。贔屓と言われようが何と言われようがな。
つー訳で、向こう三年も付き合ってもらうぞ。朝食の準備は」
「整っております」
 亜衣は窓際にワゴンを運んでいく。
「一緒に食べよう。……しっかしお前さぁ」
 彼の言いたい事は分かる。
 同じ中学に通っているのだから、わざわざ朝はメイド服に着替えなくてもと言いたい
のだろう。
「私は、仕事と私事は分けますから」
 主人が混同するので、亜衣としてはこればかりは譲れないのだった。
「むぅ」
 彼女の背後で敏志が唸る。
 亜衣はティーポットを手に取り、口元を微かに綻ばせながら振り返った。
「大丈夫ですよ。学校ではちゃんと『さん』付けしますから。敏志様」


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