isosceles triangle(二等辺三角形)
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暗い、品のいい室内。
下から聞こえる緩やかな音楽と人々の談笑が、ソファに横たわる樋山圭(ひやま けい)にはやけに遠くに感じられた。 タキシードの上着は乱れ、ズボンのジッパーは下げられ、そしてそこには胸元まで開いた高級そうなドレスを着た少女が顔をうずめていた。 「お嬢様、一つよろしいでしょうか……」 押し殺した声で、圭は訴えた。 二十代前半の髪を後ろに撫で付けた、線の細い青年だ。 十代の頃は、さぞや年上の女性に好かれただろう、柔らかいマスクをしている。 そして、彼の股間で肉棒をしゃぶっているのは、ウェーブ掛かったセミロングヘアの、いかにも気の強そうな少女だ。 「うん? 何よ、してる最中に……」 凛とした、それでいて微かに頬を紅潮させた表情が、どこか不満そうに圭を見上げた。 名前を早河香菜里(はやかわ かなり)という。 圭を見上げながらも手は休めず、彼のモノを細い指で包み込み、緩やかに擦り上げていた。 「その、私とお嬢様は執事と主という……立場でして」 「そうね……」 思考が回らない。 声を上ずらせながら、圭は今更のように何度目かの抵抗を試みる。 ここは他人の屋敷であり、部屋も無断で借り(入り込み)、しかも立場的にも大いにまずい。 まずいが、圭の理性は香菜里の手によってボロボロと崩れ去ろうとしていた。 「ところで時々、声が詰まってるけど……?」 楽しそうに笑みを浮かべながら、香菜里は竿に唾液を乗せながら舌を滑らせる。 重い唾液の雫が竿を伝い、圭の根元の陰毛を濡らしていく。 「それは……っ……お嬢様が……」 香菜里はその唾液を指で掬い、もう一方の手で袋を撫で回す。 一方彼女の舌は徐々に竿を登っていき、括れに触れると圭の肉棒は敏感に反応を示した。 「あら、私のせいだって言うの? 圭の根性が足りないだけじゃない」 「一方的に攻められてたら、そりゃ声だって出ますよっ!」 途端、竿を撫で回していた指が滑り、親指の腹が鈴口を捻り上げた。 鋭い痛みが、圭の先端から響いてくる。 「……仕える主を怒鳴りつけるのは、よろしくないんじゃなくて、圭?」 「くっ、あ……お、お嬢様、そこを捻るのはちょっと、シャレになりあいたたた……も、申し訳ありません……けれど……」 「けれど? さっきから、ハッキリしないわね……」 圭が反省したのを見て取ったのか、さっきとは一転して、香菜里の舌が先端を舐める。 傷を労わるように穴から出る液を掬い、唇で吸い上げる。 さっきまでそこを苛めていた指は、いつのまにか元の位置に戻り、射精を促すように竿を扱いていた。 「お、お嬢様も、その、いずれは…っ…よい殿方と結ばれるのですから……」 「そうね……いつか…んっ…そういう日が来るとは思うわ。けれど…っ…それと、ん、くっ……これとは別ね。大体、もう手遅れじゃない。私の純潔を奪ったのは…はぁ…どこのどなた?」 愉快そうに言いながら、香菜里の責めは少しずつ強くなっていく。 香菜里の唇から垂れた唾液は肉棒を伝い、竿を扱く手の動きの潤滑油にし、粘着質な音を室内に響かせる。 香菜里自身、舐めながら感じてきたのか鼻息を荒く、しきりに熱い吐息が圭の肉棒に当たっていた。 それがまた、圭のモノを自身の意思とは別に、強く太く膨張させていた。 「ど、どこのって……んな、人が無理矢理襲ったみたいに……」 「こういう時、男って弱いわねー……」 「人に睡眠薬飲ませて、寝込みを襲ったのはどこのどなたですかっ」 「でも、途中から動いてたわよね……?」 亀頭全体を舐め回しつつ、香菜里の鋭い目が圭を見つめる。 その目は強いながらも、見守るように優しい……が、圭にとっては面白がっているようにしか見えなかった。 「そ、それは……『痛くないように努力しなさい』なんて命令する方がどうかと思います!」 「口答えしない……痛くするわよ」 軽く口に含み、亀頭に白い歯を突き立てる。 もちろん本気でする筈はないが、使用人に対する脅しには充分なっていた。 「……くっ、す、すみませんでした」 「ん、分かればよろしい。大体、不公平なのよ。圭、知ってる? うちの世界の男共が、どれだけ女を食ってるか」 責めを甘いものに換えながら、香菜里は圭に質問する。 「お嬢様、はしたないです……」 「あら、失礼。とにかくね……向こうは甲斐性で、私達がすればふしだらなんて、どうかしてるわ。だから、私は私で楽しむの。それが気に入らないのなら、そんな連中は放っておけばいいのよ」 言いながら、香菜里は圭のモノを口に含んだ。 「ですが……っ」 袋を揉んでいた香菜里の指が、いきなり股の間に滑り込んだ。 菊座には到らないが、その間を唾液に濡れた指先が押し付けるように往復する。 「ここが弱いのよね、圭は」 「っ……あ……ま、まだ話が終わってません。だからって、どうして私なんですかっ」 強烈にこみ上げてくる射精欲求を堪えながら、圭は香菜里に訴えた。 「だって、うちに男って圭しかいないじゃない」 香菜里はその責めに飽きたのか、蟻の門渡りから指を離すと再び、袋に手を這わせ始めた。 圭はホッとしながらも、一度こみ上げた射精欲を鎮めるのは容易ではない。 「……屋敷の従業員をまとめて解雇した人間の台詞ですか、それが」 そうこうする内にも、香菜里の口唇奉仕は徐々に滑らかになり、圭の弱い所を的確についてくる。 「よって…っ…いずれ夫となる人の為に…ん…んくっ……技術を向上させる練習台は…はぁ…圭しかいないのよ……」 熱心に舐めながら、香菜里は言う。 「で、本音は?」 「女は…っ…んん……気持ちよくなっちゃ…んぅ…いかないの?」 妖艶に微笑みながら、香菜里は首を傾げた。 「……そーですね。お嬢様はそういう人でした」 「それに……この若い肌を手付かずのまま放っておくなんて、……それこそ罪悪だと思わないかしら? 圭も、そう思うでしょ?」 香菜里は、どこか拗ねるような表情になった。 それでいて、どこかせっぱ詰まった口調……見ると、いつの間にか香菜里の手の一方が、彼女のスカートの中に潜んでいた。 「それはまた、迂闊に返答しにくい質問です」 そこで何が行なわれているかは、聞かない事にした。 「つまり…ん…若い性を発散させる為に……は、ぅん……圭は必要って訳」 彼のモノを舐めながら、香菜里は自慰を行なっていた。 自身の指を、圭のものに見立てショーツを脇に避けて秘処に挿入する。 彼の指の太さには及ばないが、これまで何度も弄られたその動きは忠実になぞる事が出来る。 「よかったわね、圭。こういうのを…っ…役得って言うのよ?」 「それに、どう答えろと……」 快楽に支配される香菜里の表情に見惚れながら、それでも圭は反論した。 「あ……素直じゃないわねぇ。さっきから…ひ…んっ…そういう返事ばかりしてる…くっ…苛めるわよ」 香菜里の顔が、圭の蟻の門渡りに潜み始める。 否、今度はさらに舌が進み、彼の窄まりまでその可憐な唇が進んでいく。 「うああっ……ちょっ、お、お嬢様……それ、駄目ですってば……」 「圭って…ぁ…時々可愛い顔するのよね…ん…む……」 むずむずとした感触が、後ろの穴から背筋を駆け上がってくる。 「男に向かって可愛いは……あまり褒め言葉になりません……ちょ、お嬢様っ!」 いよいよ菊座に舌が入り込みそうになったところで、圭は本気で香菜里を制した。 「素直に……受け取りなさい。それと、そろそろ……私にも楽しませてもらうわよ……」 香菜里が責めを中断してくれてホッとしたのもつかの間だった。 香菜里の上体が持ち上がり、スカートの裾を咥えながら膝立ちになる。 彼女は濡れた純白のショーツをずらした。 恥ずかしげに頬を紅潮させているが、照明が点いていない為、その表情は圭には見えないでいた。 香菜里はもう一方の手を圭のモノに添え、照準をつけたかと思うと、ゆっくりと腰を下ろしていった。 「くっ……」 熱く濡れた肉に包まれていく感覚に、圭はたまらず呻き声を漏らした。 香菜里も大きく息を吐きながら、根元まで圭のモノを鎮めていった。 軽く、目元に浮かんだ涙を拭う。 唇から離れたスカートが緩やかに落ち、繋がっている部分を隠してしまっていた。 「ん……どう、圭?」 改めて、余裕の表情を作った香菜里は圭の胸元に両手をつきながら、具合を確かめるように腰をくねらせた。 「は、はい……いいです」 「でしょう? でも、一人だけ楽しむのは一人よがりというのよ。だから、一緒に楽しまないとね……」 小さく呻きながら、香菜里は自分の腰を持ち上げた。 「んっ……」 少し唸りながら、勢いよく香菜里の中から淫液まみれの肉棒が引き抜かれる。 「は、ぅんっ……」 香菜里は再び腰を落とし、根元まで自分自身に突き入れる。 「あっ……あんっ……はっ……あ、あぁっ……!」 震える両腕と、気を抜けばすぐにでも脱力しそうな足腰を支えに、香菜里は圭の肉棒の感触を膣全体で噛み締める。 悦びに泣きそうになる表情を悟られてはならないと、頭を俯け長い髪で顔を隠した。 何度も腰を上下させるたびに、長い髪が振り乱れる。 「ひ、ぁ……お、お嬢様……そ、そういうのは、私が……」 気遣いながらも、圭の動きは弱々しい。 躊躇しないで一気に動けばいいモノを、圭の理性はまだ主への忠誠心の方が上回る。 それを削り取るように、香菜里の腰使いはより淫らに、彼を誘うように激しく動く。 「あら……私…ぁ…圭の感じてる顔見るの…ん…ぅん……好きだもの。それとも…っ…逆らう? 逆らってみる?」 香菜里はジッと圭を熱い目で見つめながら、はだけた上着から覗く胸板に指を這わせた。 「そ、それ、ずるいです」 「ずるく…あ…あぁっ……ないわよぉ。ここでは…ん…ぁんっ……公平だもの…っ…自分が不利だと思うなら…ん…んんっ……口では無く態度で覆すのね……」 「してもしなくても、仕返しされそうですね……」 「何か…うぁ…っ……あっ……ひんっ……言った…かしら?」 「いいえ、独り言です。どちらも変わらないって言うのなら……」 覚悟を決めた圭も、本格的な抽送を開始する。 子宮を突き上げられ、香菜里は一瞬息が詰まった。 「んぅっ……! あ……あんっ……い、いきなり突き上げないでよぉ……ん…こらぁっ…やめないのっ!」 「ですが、状況からしても、いつバレるか分からないですし」 圭は、腰を上下に動かしながら、両手で香菜里の豊かな胸に手を伸ばした。 ドレスの胸元をずらし、直に現れた胸を手の平で包み込むように揉み、指で先端を弄んだ。 「はっ…へ、平気よ。その時は、圭に汚されたって言うんだからぁ……ん、そこ……いいわ……」 「……あながち、冗談に聞こえませんよ、それ」 「そう思うなら……もっと私を気持ちよくさせなさい。こんな風に……」 香菜里が腰で文字を描くように動くと、圭のモノを包み込む膣内は舐めるように竿を刺激する。 「くぅっ……はぁ……お、お嬢様っ……」 熱に浮かされたような圭の顔を見つめながら、香菜里は積極的に彼に奉仕する。 「ねえ……圭ぃ? まさか…あ…ぁあ……一人だけイッちゃうなんて事は…っ…ん……んぅ……しないわよねぇ?」 「ええ……大丈夫……ですよ」 圭は香菜里の腰の動きから導かれる快感を堪えつつ、それに合わせて自身も突き上げ始める。 「ん……そうこなくちゃね…っ…私も愉しませるのよ、圭……」 香菜里の身体が倒れ込み、圭の上体に覆い被さった。 唇を重ねてくる香菜里に圭は逆らわず、自分の舌を絡めた。 「はい……」 「そうそう…ん…くちゅ……分かればいいのよ。時間は…ふぁ…気にしなくて……ん…んむ…いいから、ね」 香菜里の舌は、圭の頬を伝い、首筋や耳元まで舐め上げていく。 「……っていうか…っ…単純に出るのが嫌なだけなのでは……?」 「いいのよ。気分悪い連中の相手をするよりは…あ、ん、そこ、もっと………圭と気持ちいい事してる方が……あん…んっ…ああっ……正しいに…決まってるわ。圭だって…っ…私の知り合いの女の子達に言い寄られては…ひ、あ…あぁっ……困るでしょう?」 「ええ、まあ、それは……」 「ほらぁ……何の…っ…問題も……ないじゃない」 「ですが、部下を一人にしておく訳にも……んうっ」 耳の穴に舌を入れられ、圭の身体がピクンと震えた。 「……ていなら…ふ…っ…んん……心配要らないわ。能力もない子を…く…ぅん……私が手元に残しておく筈がないじゃない……」 お返しに、圭も香菜里の首筋を舌で上下させ、唇をなぞった。 「いえ、むしろ私の職場放棄の問題が――」 香菜里は軽くキスを返し、彼の顔を舐める。 圭が少しくすぐったそうに身をよじるが、そんな事で香菜里の行動を止める事は出来ない。 結局、最後にはお嬢様の気ままな愛撫に、圭は身を委ねてしまう事になる。 「――雇い主がOKって言ってるんだから…んっ…あっ……いいのよ。……ま、しょうがないから…はぁ…はっ……一回だけで終わりにしてあげるわ」 圭の表情は明らかにホッとしているようだった。 「……でも…っ…覚悟しておくのね」 圭の首にしがみつきながら、香菜里は呟いた。 「え……?」 「もちろん…っ…ん……んんっ……家に帰ったら続きをするのよ? さて、と……は、うんっ……んんぅっ!」 香菜里の腰が、大きな円を描いて圭のモノを締め付ける。 緩急をつけ、限界いっぱいまで圭の肉棒を引き抜き、また先端が奥に当たるまで深く沈める。 「んっ、あぁっ……」 同時に、彼女自身もこれまでとは違う場所を肉棒で擦られ、熱い息を漏らしてしまう。 「は、ぁ……圭がこっちに…ぅん…集中できない…ん、あぁっ…みたいだし…んっ…あんっ……ここではもう…っ…終わらせときましょうか……」 「こ、ここではって……?」 少しずつ強く、そして早くなってくる香菜里の腰の動きに、今すぐにでも射精したいのを堪えながら、圭は尋ね返す。 「私の部屋で…ね…あ…んっ…疲れてぐっすり眠れるまでするのよ…あっ…ん…そうと決まれば……さっさと下で挨拶を済ませて帰りましょ?」 「あ……は、はい」 香菜里の目が、泣きそうな子供のような色に変わった。 「あと……最後ぐらいは、気を入れてよね……圭、お願いだから、ちゃんと、して……」 「は、はい……」 最後の、香菜里の甘えた声に圭は応え、力強く腰を突き上げ始めた。 「あ……あんっ……そ、そうよ……そうでなくちゃ……んっ……あぁっ!」 圭にしがみつきながら、香菜里は膣内を掻き回す彼のモノを感じ取る。 スカートの中で、何度もピストン運動が繰り返され、奥を突かれるたびに頭の中が真っ白になる。 「あっ、ああっ、ふぁっ、圭、圭、いいの、もっと、もっと突いてぇっ……!!」 香菜里は至福の時間に何もかも忘れ、それに支配されそうになっていた。 「お、お嬢様、声……」 微かに聞こえる声。 「んっ、はぁっ、あぁっ、駄目!? バレないと思うけど……っ!」 「出来れば」 圭の懇願に、香菜里は声を抑えようと唇を噛み締める。 けれど、下からの突き上げにそれはあっさりと打ち砕かれてしまっていた。 「はっ……ん……ならっ……!」 香菜里は圭に唇を重ねた。 そして、貪るように圭の舌と唾液を吸い上げる。 「んうぅっ……」 「これなら…っ…口も……塞がっ……文句、ないわよね?」 「はい……」 圭も、主の唇を強く吸う。 「ん、んーっ……!!」 鼻を鳴らしながら、それでも口付けをやめず香菜里は腰を振りたくる。 圭と一致したその動きは徐々に加速し、スカートに隠れた部分から激しい水音と肉が打ち合う音が響き渡る。 「んくっ……ぅん……んんっ!」 ん、と圭の息が詰まる。 急速に締め付けを開始する膣内で、彼のモノは最後の膨張を遂げた。 来る、と感じた香菜里は、ギュッと彼を抱き締めながら最奥に先端を迎え入れる。 「ふっ……くっ……んんんーーーーーっ!!」 互いに声を押し殺しあいながら、圭と香菜里は同時に絶頂に達した。 圭は腰を突き上げたまま、香菜里の胎内で肉棒を脈動させ、大量の白濁液を注ぎ込む。 「んっ……あ……はぁっ……あぁ……ん……んん……」 その度に香菜里は鼻息を上げながら、子宮内を満たしてくれる愛人のエキスの感触に満足げな気分を味わっていた。 「はぁ……」 息苦しさに、圭は顔を引いた。 「はー……はー……ぁ……圭のが、こんなにいっぱい……」 どこか幼い、主の陶然とした表情に圭は見とれてしまう。 いけないとは思いつつも、彼女をこんな無防備な表情にしたのが自分だという満足感と支配欲が、圭の心の中でもたげてきていた。 「す、すみません……お嬢様……」 そんな自分を戒めるように、圭は香菜里の髪を梳きながら彼女に謝った。 「いいのよ。ん、まだこんなに元気なんだから、もう一ラウンド……って行きたい所だけど、我慢しなくちゃね……」 香菜里は、一生懸命尽くしてくれた執事に、優しく口付けた。 「そうして下さい」 「……」 ……香菜里は素の表情で、圭を見つめた。 「……何か?」 「ふんっ」 そっぽを向くお嬢様に、圭は訳が分からない。 「は、はい?」 香菜里は荒々しく身体を起こすと、圭から離れた。 まだ足が震えていたが、そんな所を圭に悟られてはならないとばかりに、平然と身繕いをする。 圭も、敢えてそんな香菜里の態度に言及しない。 気になるといえば、香菜里の気分が著しく悪くなった原因が不明な点だったが、まさか本人に聞くわけにもいかない。 「いいから、さっさと支度なさい! 適当に連中の相手をして、帰るわよ!」 「は、はい! かしこまりました!」 圭も簡単に身を整えると、先に部屋を出た。 扉を閉める直前。 「っとにもー……」 後ろから不機嫌そうな、どこか寂しそうな聞こえてきたのが、少し気になった。 「……馬鹿ぁ」 ホールは、タキシードとドレスで埋め尽くされていた。 ゆるやかな音楽と、人々の談笑の声は相変わらず。 壁の華と化していたメイドの中に、圭は自分の部下を見出した。 ショートカットの、素朴な顔立ちの少女だ。美人と言うより可愛らしい印象を受ける。 年齢は香菜里と同じだが、学校には通っていない。 名前を南てい(みなみ てい)という、早河家唯一のそのメイドに圭は声をかけた。 「――状況はどうですか?」 圭の姿を認めたていは、いつも通りの笑みを浮かべながら上司に応える。 「特に問題はありません。七、八人ほど、お嬢様の行方を尋ねられた方がいらっしゃいましたけれど、今頃はいない筈の庭を探し回っている筈です」 「そうですか」 「主催でなくてよかったですね」 「……まったくです」 「それで、お嬢様は?」 「先ほど戻られまして、今は……あそこのようですね」 香菜里の周囲には、何人もの人だかりが出来ていた。 主に取り囲んでいるのは、年頃の男性だが、所々品のなさそうな中年男も混じっている。 相変わらずといえば相変わらずだが――その中心から、怒鳴り声が響き渡った。 「何をするっ!?」 圭とていは顔を見合わせ、そっとため息をついた。 輪の中心で、香菜里と青年が対峙していた。 「お静かに。下品ですわよ」 香菜里は腰に手を当てながら余裕の表情、青年は左右に心配そうな表情の女性を侍らせながら顔を真っ赤にしていた。 香菜里の手にはグラスワイン、そして青年の顔が真っ赤なのは決して血気のせいだけではない証拠に、白いシャツにも赤い染みが出来ていた。 「こ、この……」 「ああ、騒がなくても下品ですわね。口説き方が酷過ぎますわ。何が『今度二人きりでゆっくりと、お話しませんか』ですか。陳腐すぎます」 ふぅ、と吐息を漏らしながら、香菜里はつまらなそうな視線を青年に向ける。 「それと、その態度は一体どうしたものかしら。女性を口説く時に周りに他の女性を侍らせるのはどうかと思いますわ。貴方がどれほどおモテになるのか知りませんけどね、私をそこらの安い女だと思われてますの?」 人ごみを掻き分けようやく騒ぎの中心に辿り着いた圭は、二人の間に割り込んだ。 「お、お嬢様……」 けれど、香菜里の言葉は止まらない。 「もう少し洗練された方がよろしいですわね。せめて、うちの執事程度にはなっていただかないと、私とは釣り合いが取れませんわ」 言いながら、香菜里は圭の首根っこを引っ掴んで、青年と向き合うようにした。 まあようするに、盾にしたと言ってもいい。 「そんな執事と一緒にするなっ!!」 屈辱に怒りの表情を浮かべた青年が、腕を振り上げた。 喧嘩慣れしていないテレフォンパンチを、圭はあっさり手の平で受け止めた。 「ぐっ……こ、このっ!」 圭の握力に、青年が顔を顰める。 圭はどうしたものかと香菜里に指示を仰いだ。 「圭、やっちゃって」 「いいんですか?」 「先制攻撃は向こうからでしょ」 「……はい」 殴るのも大人気ないので、圭は手加減する事にした。 「それでは、失礼しますね」 拳を握ったまま、足の裏に力を込める。 足首、膝、股関節と関節ごとに力を螺旋状に増幅させ、手首で最大限に達した威力を解放する。 「――よいしょっと」 青年は立ったまま身体を勢いよく回転させ、後ろの野次馬達に向かって突っ込んだ。 ちょっとやりすぎたかもしれない、と圭は思った。 「……よろしかったのでしょうか、お嬢様」 手の埃をはたきながら、圭は気遣わしげに香菜里に振り返った。 「ええ、上出来ね」 目を回したまま気絶した青年を満足げに見下ろしてから、香菜里は圭に微笑んで見せた。 そして、周囲の人間に丁重に頭を下げながら、優雅に身を翻した。 テーブルにグラスを戻すのを忘れない。 「それでは、失礼いたしますわ。皆様、ごきげんよう。てい、行くわよ。圭は車を用意して」 「あ、は、はい」 香菜里の後ろにていが侍るのを見送りながら、圭は駐車場を目指して早足で駆け出した。 自宅に戻り、深夜。 ようやく香菜里を満足させ寝つかせた圭は、ヘロヘロになりながら自室に向かっていた。 「うー……」 廊下の壁に肘をついて身体を支えながら、少しずつ前進していく。 香菜里は予告通り、屋敷に戻ると圭を部屋に呼んだ。 そして、この時間まで相手をさせられていたのだが……。 「……三回はきついよなぁ」 ボヤきながら台所に通り掛ったところで、誰かが立ち上がる気配に圭は気付いた。 「圭さん、お疲れ様でした」 メイド服のままのていが、圭に微笑みかけた。 「てい、起きてたのか」 「明日の朝ご飯の仕込をしていただけですよ」 ていは圭に近寄ると、腕を取って台所に迎え入れた。 丸い椅子に腰掛け、ていが差し出した水を一息に飲み干す。 「ごめんな、てい。構って上げられなくて……」 仕事中の、硬いやり取りではない。 ていは圭の隣に座ると、年上の恋人の言葉にやんわりと微笑んだ。 「お嬢様の事が最優先ですわ。仕事とわたしでしたら、仕事の方を優先させてくださいな。わたしは、圭さんと一緒のこのお屋敷にいられるだけでも御の字なのですから」 「そう言ってもらえると、助かる……」 ふと、ていの頭が圭の方に傾いた。 もたれるのかな、と思ったら違うようだった。 「ですけど、恋人としては他の女性の匂いが残っているのは悲しいです」 ていは、小さく鼻を鳴らして寂しげな顔をした。 「シャワーは、浴びたけど……?」 思わず圭は自分の腕や肩を嗅いでみた。 もちろん分かる筈はなかったが、圭がそんな事をしている内に、太股にていの手が置かれていた。 「まだ、少し残っています。お疲れでしょうかれど、もう一頑張り、お願い出来ますか?」 無理なら構いませんけど、といった心配混じりの口調と共に見つめてくるていを、圭は拒む事が出来なかった。 昼間は仕事だし激務でほとんど休みはない。 二人のプライベートな時間は貴重だったし、抱き合う暇も滅多にないのだ。 「ああ。じゃあ、部屋に……」 「ここじゃ、駄目ですか?」 ていはそんな事を言った。 「いや、それは」 「ずっと待ってたのに」 太股のズボンの生地を握りながら、ていは拗ねる。 「てい、さっきと言ってること違う」 「じゃあ、正直に言いますと、圭さんが戻ってくるのをずっと待ってました。 ここ、圭さんの部屋への通り道ですし」 「だから、俺の部屋で……」 「……」 ていは、尻尾のうな垂れた仔犬のような顔をした。 こうなると、圭はお手上げだった。 確かに、ていのやや特殊な性癖もあり、ベッドよりはここの方が、彼女を満足させる事が出来るだろう。 「……分かった。もしバレても、知らないぞ」 「その時は、仲良くクビになると思います」 ていは、椅子に座ったまま足を広げ、ゆっくりとロングスカートの裾を捲り上げた。 ガーターストッキングに包まれた足と、小さく染みの出来たショーツ、ヘソまで見える素肌が露わになった。 圭は躊躇せず、手をていの股間に滑らせた。 熱い液体の感触が薄いショーツ越しに伝わってくる。 「ん、もう濡れてるな」 強く押すと、染みの面積はあっという間に広がっていった。 「だからぁ……」 恥ずかしそうにしながらも、ていは手を下ろさない。 明らかに発情した顔で、圭の次の行動を期待していた。 「ホントに、ずっと待ってたんだな。こうされたかったのか?」 圭は腰を浮かせながら、親指で淫核をショーツ越しに弄った。 ジワリ、と愛液を椅子に滴らせながら、ていは強い刺激に身震いさせる。 「は、い……ん……圭…様……胸も……あ、んんっ」 圭はスカートを持っていたていの手を払うと、もう一方の手で胸を鷲掴みにした。 「ていは、これぐらい乱暴な方が好きだろう?」 ていの胸の形が変わるほど強く揉みながら圭が尋ねると、ていは上ずった声で返事をした。 「は、ん、あぁっ、はい……好きです……」 「欲しいのは、胸だけ?」 突起のある辺りを指で強く押しながら、圭は問い詰める。 「キスも……して欲しいです。息が出来なくなるぐらい……強いの欲しいです……」 熱に浮かされたような口調で、ていは圭におねだりした。 「ていは欲張りだな……」 圭は、ていに唇を重ねると、強く吸い上げた。 「んっ…ん〜〜〜〜〜っ」 ていが涙目になるのも構わず、舌を挿入し、乱暴に絡め取る。 必死についてこようとするていの意思を置き去りにして、口の中に溜めた唾液を彼女の口内に送り込んだ。 ていがそれを嚥下したのを確認すると、圭はそっと彼女の唇を解放した。 「足、もう立たない? キスだけで」 まだし足りないのだろう、ていは媚びるように圭にキスを繰り返しながら、首を小さく縦に振った。 「はぁ……はぁ……はい……ごめんなさい」 「じゃ、そこに四つん這いになって。これからお前を可愛がってくれるものに、挨拶するんだ」 「はい……失礼します」 ていは、圭の前に跪くと彼のジッパーを降ろし、肉棒を取り出した。 ていは言われた通りに四つん這いになり、熱い息を漏らしながら、既に硬くなっているそれに舌を這わせていく。 先走りの液が先端で玉を作っているのを見て取ると、亀頭にキスしながらそれを吸い上げた。 「美味しそうにしゃぶるな、ていは」 ていの頭を愛しげに撫でながら、圭は腰を突き出した。 それを口に出し入れしつつ、ていはうっとりとした表情を圭に向ける。 「だって…ぅん…本当に…っ…おいしいですから……」 「そんなていに、ご褒美だ」 圭は床に腰を下ろすと、そのまま後ろに倒れ込んだ。 圭が仰向けになった状態でも、ていは彼の肉棒を離さずしゃぶり続ける。 「んぅ……ん……んん……あ、ありがとうございます……」 「そのまま、俺をまたいで」 「あ…はい……し、失礼します……」 ていは身体を反転させ、圭の顔に自分の尻を下ろしていった。 「そう、それでいい」 圭は指を二本揃えると、ていの秘処に乱暴に突き入れた。 根元まで埋まったその指を、ていの中が強く締め付ける。 「あ、あぁっ……あああぁぁっ……!!」 ていは一度大きく背を仰け反らせると、そのままクタリと倒れ込んだ。 どうやら軽く達したらしい。 「口が休んでる。イクのはいいが、そんなだともうしてやらないぞ?」 ズボズボと指を出し入れしながら、圭はていに命じる。 「はっ……あ、ご、ごめんなさい……ちゃんと、しますからぁ……もっと……して下さい……」 涙と涎で顔をクシャクシャにしながらも、ていは健気に圭の肉棒に舌を這わせていく。 まだ気が抜けているのか、それはただ舐めているだけで、圭には一向に満足感を与えない。 否、精神的には熱心に奉仕するていの仕草に圭は強い満足感を得ていたが、それを表に出す訳にはいかなかったのだ。 「なら、ちゃんとするんだ」 非情な口調で言いながら、空いた方の手でていの白い尻に平手を張った。 中に入った指は乱暴にていの中を掻き混ぜ、ていに休む暇を与えない。 「んっ……んふっ……んんっ……ふあぁ……」 「よしよし、それでいい。しっかり言う事を聞いていれば……」 圭は指を引き抜き、舌を秘処にねじ込んだ。 口の中に溢れかえる蜜を嚥下しながら、構わず濡れた肉襞を舌で舐め回す。 さらに、さっきまで膣内に入っていた指で、肉芽を緩やかに撫で上げる。 「あ、あああっ……ありがとうっ、ございますぅ……っ!」 ガクガクと腰を震わせながら、それでも彼のモノに奉仕を続けるてい。 気をやらないよう、必死にそそり立つ怒張に舌と手を駆使して刺激を与えていく。 「舌と指のままでいいのか?」 「はあ……ぁ……あっ……?」 ていは、最初何を言われたのか分からないように、手を休めた。 「言わないなら、このまま出すぞ? まあ、ていはこの味も好きだろうけど」 「あ、い、いやです……」 ていは大きく首を振った。 「なら、どうすればいいか、分かるな?」 「はい……」 ノロノロと這いながら、ていは圭から離れた。 下着を下ろし、スカートを捲り上げる。 「……それでいい。それから?」 ていは圭に向かってお尻を突き出し、指で秘処を広げた。 愛液に濡れた、可憐な秘唇と肉襞が圭に丸見えになる。 「わ、わたしのはしたないここを、圭様の太いので貫いて下さい……い、いっぱい、突いて……熱いの、注ぎ込んでください」 ていの脳内で羞恥が快楽に転換し、とめどなく蜜が溢れ出す。 「承知」 糸を引いて床に滴るそれに、ていは恥ずかしさで死にそうになりながらも、確実に自分が期待しているのを感じていた。 そんなていを、圭は昂ぶった自分自身で一気に貫いた。 「っぁ……んんぅっ!!」 ていは拳をギュッと握り締め、背筋を震わせた。 「気をやるのはまだ早いぞ……これからなんだから」 「あっ、あっ、はひっ……あぁっ、圭様ぁっ……」 頬を床に当てながら、後ろから鋭く突かれる快感に、ていは必死で耐えた。 けれど、圭の責めはていの理性をボロボロと剥ぎ取り、性欲を貪る牝犬へと彼女を変えていく。 「ほら、もっとお尻を上げて。ていも、犬みたいに腰を振るんだ」 「んっ、んんっ、はぁっ、こ、こうですか、あ、あんっ!」 主人に言われるまま、ていは出来るだけ淫らに尻を振りたくる。 「あんまり大きな声を上げると、お嬢様が起きるぞ。その姿を見られるつもりか?」 「はっ、あっ、で、ですけど……すごくて……あ、あっ、どうしても、声が!!」 「仕方がないな」 圭は、ていの背中に身体を傾けながら、手を彼女の前に差し出した。 正確には指だ。 「は、ぁ……」 ていは、それをどうすればいいのか、言われなくても分かっていた。 唾液の溜まった口内に含み、舐めしゃぶらなければならない。 「噛むなよ……? ちゃんとしたら、ご褒美をやるから、しっかりしゃぶるんだ」 「は、はい……頑張ります……ん、ちゅ……」 揃えられた指を、圭の肉棒に見立てて舌で愛撫する。 本物のそれと寸分たがわず、射精を求めるように精一杯、ていは指に向かって奉仕する。 「そうそう、上手だ……それじゃ、こっちも動くからね」 指が突き入れられると同時に、後ろからも腰が送り込まれる。 「んっ……んうっ……んむっ……んふぅ……」 「上と下で、一緒に犯されてるみたいだろ? そんなにいいのか?」 「は、あ……いい、いいです……ん、圭様、指、ちゃんと咥えてますからぁ……」 「しょうがないな。それじゃ、もう一つの穴も……」 圭は、空いている方の手を尻の谷間に滑らせた。 繋がっている部分のわずかな上、小さな窄まりに指の先端が触れる。 「んうっ……!!」 汗と愛液を中指に絡め、圭はそこをほじくった。 これまでの開発でそこは、指二本が窮屈ながら入るようになっていた。 とりあえず今日は中指一本を挿入し、引っ掛けるようにして肛内を刺激していく。 「こっちはもう少しってとこか。指三本まで入るようになったら、本物を入れてやるからな」 「はぁーっ……はぁー……た、楽しみです…っ……」 擬似的とはいえ口、膣、肛門を犯す三本責めにていの太股はガクガクと震え、膣の締め付けは次第に窮屈になっていっていた。 「だらしないな、ていは。また、イッちゃうのか?」 「も、申し訳ありません……だって、圭様のが……っ……気持ちよすぎて……あ、あっ、お願いしますぅ……」 「お願い? 何を?」 分かっていながら、圭は冷然としたままていに尋ねた。 その間も腰の動きは休めず、むしろ力強く加速を続けていく。 自身のモノが膨張していくのを感じながら、圭は何度もていの子宮を先端で突き上げた。 「ていの中に…ひ、ぁっ…いっぱい…っ…お情けを下さい! 圭様の熱いエキスで、子宮の中を満たしてくださいっ……くっ…あ…あんっ…ああぁっ!!」 ていが言い切ると同時に、圭は渾身の一撃を彼女に与えながら腰を密着させた。 「っ……んん!!」 初弾がていの子宮底を叩いた。 「っ……んんっ……っ〜〜〜〜〜っ!!」 ていは、圭の指を精一杯に吸いながら、体内に迸る精液の感覚に身を委ねていた。 熱い飛沫が胎内に浴びせられる度に、ていの全身を心地よい波が支配した。 「は、ぁ……」 圭の射精は長く続き。 「あ……あ……あぁっ……」 その度にていの身体が小刻みに痙攣を繰り返した。 「てい」 圭はていの中から自身を引き抜いた。 「はー……はー……?」 そのまま、息を荒げる彼女の前に座り込んだ。 彼女の前には、やや柔らかくなり、精液と彼女自身の愛液にまみれた肉棒があった。 「ちゃんと出来たご褒美だよ。このまま、もう一度飲んでいいからね」 「ぁ……ありがとうございます」 ていは、ほとんど力の抜けた身体に活を入れて圭に近付くと、彼の股間に顔を埋めていった。 「……うー」 ほとんど死に掛けの圭に肩を貸しながら、ていは彼の部屋を目指していた。 細身といえど男の身体。 それなりの重量はあるはずだが、この早河家の雑務をほとんどこなしているていにとっては、さほど苦にもならなかった。 「お疲れ様でしたー♪」 何と言っても、運んでいるのは恋人の身体なのだ。全然辛くなんかない。 すっかり満足したていは、上機嫌に鼻歌を歌っていた。 「マジ、腰痛いんだけど……」 「じゃあ、お部屋でマッサージですね。あ、明日っていうか今日も早いですから、簡単なのになりますけど」 「いや、それで充分。ともあれ、今日は身体を酷使しすぎた」 「今日も、ですけどね。……ごめんなさい」 さすがに疲労困憊な圭の様子に、ていも反省する。 今更といえば今更な話ではあるのだが。 「いいさ。これぐらいしか、今は出来ないんだから。お嬢様のほうも、もう少し……テンションを抑えてくれれば助かるんだけど」 …………。 ていは考え込むように天井を見つめ、それから圭を見た。 「圭さん」 「うん?」 「お嬢様に、遊ばれてると思います?」 「というより、思いっきり振り回されっぱなしだね。ま、嫁いで下されば俺の相手なんて、飽きると思うんだけど」 大きく圭はため息をついた。 それはどうかなぁ、とていは思うのだ。 「んー、飽きる、ですか」 「何?」 「私、予言します」 「うん?」 「お嬢様の二十歳の誕生日までは、続きますよ」 「……何故、分かる?」 「二十歳になれば、会社の全権はお嬢様のものになります」 「ああ」 「なら、身分違いの恋でも、口出しできるものはいませんから」 「……………………は?」 圭は、よく分かっていないようだった。 ていは、いつも通り、けれど、やや不敵な成分を含ませた笑みを彼に向かって浮かべた。 「わたし、負けませんからね?」 <おしまい> Novel Searchのランキング投票ボタンです。 面白いと思って頂けたら、押してやって下さい。 ひょっとすると、更新が早まる『かも』しれませんです。 よろしくお願いします。 『あとがきへ→』 『ノベル一覧へ戻る→』 『TOPへ戻る→』 |
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