Hanger-on life02






 朝食から一時間後。
 日曜日という事で特にすることもなく、僕はソファに座り大きなテレビでバラエティ番組を見ることにした。
 ここまでは、前の家での生活と変わらない。(ソファとテレビの大きさと品質に、やや差があるけれど)
 違うのは。

「んふー」
「……えーと」
「むぅー……」
 左に美奈穂さん。中央に僕。そして右に澄乃姉ちゃん。
「あ、あのー……二人とも……」
 僕はためらった末、ようやく口を開けた。
「なぁに、功一君」
 僕の首に腕を回しながら、美奈穂さんが僕の顔を覗き込んでくる。
 その、胸が何ともいえない心地よさなんだけど……澄乃澄乃姉ちゃんが。
「……わん」
 見ると、すごく不機嫌そうだった。
 唇を尖らせながら、美奈穂さんを睨んでる。
「あの、何で犬?」
「ママを威嚇してるの」
 ごめん、全然怖くない。
 僕の二の腕に自分の腕を絡めてくるものだから、こっちもすごく胸が当たってる。
 えー、つまり。
「ひじょーに、その、動きづらいんですけど……」
 この心地よさから解放されたくないっていうのもあるけど、それよりこの冷戦のような緊張状態は何とかなんないのか。
「あらー、したい事があるなら言ってくれればいいわよ? テレビのチャンネル、変える? それともお茶菓子?」
 さらに身体を寄せ、美奈穂さんが自分の身体の柔らかさを強調してくる。
 うあぁ……香水の匂いで、頭がクラクラしてきた。
「功ちゃん……わたし、邪魔?」
 澄乃姉ちゃんに捨てられそうな仔犬のような顔をされ、僕は慌てた。
「いや、違うって。そ、そうじゃなくて、あまり密着し過ぎると……」
 ……どう言えばいいのか。
「あの、その、何て言うのかな。喫茶店で四人掛けの奥の席に座った人がトイレに行く時、手前の人に尋ねなきゃいけない気分?」
 あああああ、自分でも何を言ってるんだかよく分からない。
「……功一君って、変わった喩えするわねー」
 にこにこにこー。
 何が嬉しいのか、美奈穂さんはすごく機嫌がよさそうだ。
「いや、こんな変なとこで感心されても」
 っていうか今の美奈穂さん、お酒も飲んでないのに、まるで酔っ払ってるみたい。ハイになってる、という奴だろうか。
「とりあえず、ママは確かにくっつき過ぎだと思う」
 ギュッと腕に力を込めてくる澄乃姉ちゃん。
 はぅ……これもいい。
 すると、ボソッと、でも僕らに充分聞こえる声で美奈穂さんが呟いた。
「……昨日は二人でずっと、くっついてたくせに」
「み、美奈穂さん!!」
「ママ!」
 何て事を言うんだ、この人は。
 しかも、全部事実だから否定出来ないって辺り辛かった。
「だって、澄乃ばかりずるい。私も功一君と気持ちいい事したいわ」
 美奈穂さんが、「ねぇ?」と誘うような目で僕の顔を覗き込んで来た。
「あ、あの、で、でも……」
 僕は澄乃姉ちゃんが好きで、澄乃姉ちゃんも僕が好きで、で、でも目の前の美奈穂さんもずっと僕の事が好きだったって言うし。
「ね、どうしたの?」
 美奈穂さんが僕に身体を預けてくる。
 けど! でも!
 ど、どうすればいいんだ、この場合!?
 僕の頭はパニックに陥りそうだった。
 ぐい、と澄乃姉ちゃんに引っ張られた。
「ずるいとかそういう問題じゃなくて、娘の彼氏を取ろうとする神経が信じられないの!」
「別に、取ろうなんて思ってないわよ?」
 美奈穂さんが、僕を引き寄せる。
「じゃあ、その腕は一体何」
 ぐい、と澄乃姉ちゃんが腕を引っ張った。
「愛情表現」
 美奈穂さんがギューッと抱きついてくる。
 む、胸が……。
「取ろうとしてるんじゃないっ!」
 いや、腕が。
「あらー? どうもおかしいわねえ。功一君は、澄乃のモノなの?」
「うっ……」
 あ、澄乃姉ちゃんの力が緩んだ。
「違うわよねぇ。澄乃は功一君のものだけど、逆じゃないもんねー?」
 僕の顔を胸を強く押し付けながら、澄乃姉ちゃんの方に身を乗り出す美奈穂さん。
 うぁぁ……や、柔らかい。
「な、な、何で知ってるのよぉ……」
「そりゃもう、澄乃の母親だからして、娘の考える事なんてお見通しなのよ。自分は功一君のものになりたいけど、その逆で功一君にプレッシャーは掛けたくない――とか、そんな事考えてるんじゃないかしら?」
 そ、そうだったんだ……。
「こ、こ、功ちゃぁん……ママが苛めるぅ」
 澄乃姉ちゃんが泣き顔で腕に再び力を込めて来た。
 テレビでは、まだバラエティー番組が能天気な内容を放映している。
 ……何か、修羅場のはずなのに、この緊張感のなさはなんだろう。
 それとも、世の中って意外とこんなもんなんだろうか。
「とにかくね、ママは娘の彼氏を取るつもりなんてありません。ええ、まったくそうですとも。私、神宮寺美奈穂はそんな人でなしじゃありませんから。いずれ、功一君には澄乃をお嫁にもらってもらうんですし」
「へ!?」
 思わず僕は、美奈穂さんの胸から顔を上げた。
 そして、澄乃姉ちゃんが、僕の背中に覆い被さってくる。
 親亀の上に小亀が、とかそんな言葉がちょっと頭をよぎった。
 美奈穂さんは笑顔のまま、僕の鼻を軽く指で押した。
「あらー? 娘を傷モノにした責任は、当然取ってもらうわよ? まさか、その覚悟も無しにした、なんて事はないわよね?」
「そ、そ、そんな事はありませんけど……」
 これは本当だ。
 むしろ、美奈穂さんの承認が得られたって事は、すごく嬉しい。
 けど、じゃあ、美奈穂さんは……?
「功ちゃん」
 僕の考えをよそに、澄乃姉ちゃんが後ろから声をかけてきた。
「うん、澄乃姉ちゃんの事、ちゃんと好きだから。だから、その点は安心して」
「うん」
 ギューッと力いっぱい、後ろから抱きついてくる澄乃姉ちゃん。
 それを見て、美奈穂さんも微笑む。
「そうよね。うん、それでこそ、私の惚れた男の子」
 ……え、えっと、そこでどうして美奈穂さんまで僕に抱きついてくるんでしょうか!?
「だ・か・らー、そこでおかしな事になってるんでしょ!?」
 僕、サンドイッチ。
 肩越しに、澄乃姉ちゃんが叫ぶ。
 うん、その気持ちは僕もすごく分かる。
 ただ、僕の場合は困るけど嬉しいっていう、ややこしい心境なんだけど。
「そうなのよねー」
 うーん、と美奈穂さんが小首をかしげた。
 ちょっと可愛い。
「とはいえ、澄乃の気持ちを考えてるのも本当なのよ。つまり、あれね? 親としての気持ちと、女としての気持ちは別物って事かしら」
「……いや、あの、ママ? 普通、そこでグッと堪えるのが大人なんじゃないかなぁってのが、一人の人間としての意見なんだけど」
「あ、澄乃は私に恋愛するなって言うの?」
 少しムッとした顔を作る美奈穂さん。
「そうは言ってないけど……あああああ、何か頭痛くなって来た。功ちゃん、聞き手交代」
 澄乃姉ちゃんが、グイと僕を押し出した。
「はい」
 美奈穂さんの矢面に立たされる僕。
「だってね、私にだってどうしていいか分かんないもん。恋したことなんて、二回しかないし」
 美奈穂さんははにかみながら、僕の衿をクイクイと引っ張った。
「は?」
 二回?
「一人は死んだ私の旦那様。で、次に功一君でしょ? ほら、二人しかいないわ?」
「こ、光栄ですけど……何で?」
 美奈穂さんみたいな素敵な人なら、幾らでも恋愛できそうなものなのに。
「あ、それはわたしも聞きたい」
 グイッ。
 後ろから、さっきまでとはガラッと表情を変えた澄乃姉ちゃんが身を乗り出してきた。
 うわ、澄乃姉ちゃん、まるっきり噂好きなクラスの女子と同じノリだ。
「何でって言われても困るわ? じゃあ、澄乃は功一君が何で好きなの?」
「え? だ、だって、そ、そんなの色々ありすぎて、すぐに答えられないよぉ」
 美奈穂さんが、澄乃姉ちゃんから僕に顔を移す。
「はい、それじゃ功一君。功一君は、何で澄乃の事が好きなの?」
「何でって言われると……困ります。何時からなんて事になると、それこそずっと昔だし」
 好きなところを上げろって言われても……ねぇ。
 僕と澄乃姉ちゃんは顔を見合わせて頷いた。
「二人の場合、電撃的なきっかけがあったとか、そういうのじゃないものねー。じっくり時間をかけたワインの熟し方みたいな恋愛だし。でも、二人に共通してるのは、どっちもお互いの欠点を承知の上で、それでも好きってのはあるでしょ?」
「え?」
「うん……?」
 ちょっとピンとこなかった。
「例えば澄乃のすごい強引な所とか、功一君なら優柔不断で誰にでも優しい所とか」
「それは……あります」
「うん、わたしも……」
 澄乃姉ちゃんが強引なのは知ってるし、でもだからこそ、そういう直球勝負なところが僕は好きなんだし。
 ……うん?
 ああ、こういうところは確かに、美奈穂さんの遺伝だなぁ。
「それと、相手が自分の欠点を知ってても、それでも好きでいてくれてるっていうのが、すごく安心出来てる。違うかしら?」
「合ってます……」
「うん、わたしも同じ」
「でもそれはすごくいい事なんだけど、一歩間違えれば相手に対する甘えにもなっちゃうから気をつけてね?」
「はい……」
「うん」
 そこで、はた、と気が付いた。
 ちょっと待った。
「あの、話が猛烈に脱線してません?」
 なんか、お説教モード、ですか?
「ううん、してないわよ。ようするに私も理屈じゃ説明できないって言ってるんだから」
 にこーっと笑みを浮かべる美奈穂さん。
「そ、そんな事言われても困りますよ」
「でも功一君、私の事好きよね?」
 ここで「私の事嫌い?」とか言わない辺りが、美奈穂さんらしいといえばらしい。いや、正確に言えば神宮寺親娘らしいというか。
「す、好きですけど、澄乃姉ちゃんに対するそれと、ちょっと違うっていうか……。澄乃姉ちゃんに対しての好きは純粋に『好き』しかないけど、美奈穂さんに対しての好きはむしろ『憧れ』の方が強いんですけど……」
 これは、昔から変わらないと思う。
「うん、分かってるわよ。でも、困ったことに、私は功一君の事が『好き』なのよね――」
「えっ……?」
 美奈穂さんの唇が、僕の唇に押し付けられた。
 頭の中が真っ白になる。
「あぁーーーーーっ! ま、またキスしたっ!!」
 澄乃姉ちゃんの声が、やけに遠くに聞こえた。
「ん…んくっ、んー……だから、実力行使。ん…ね、功一君も……ん、んっ……」
 美奈穂さんの舌が僕の唇をなぞる。
 小さく口を開くと、スルッと柔らかく温かいのが中に潜り込んで、僕の舌に触れてくる。それと共に、トロトロと唾液が流れ込んできた。
 う、うわぁ……。
 顔を両手で離され、後ろに引くことも出来ない。
「こ、功ちゃん、しっかりしてっ! 正気に戻って!」
 肩を揺すぶられ、後ろから澄乃姉ちゃんの声が頭に響いてくる。
 やや乱暴な感じの美奈穂さんの舌に口の中を掻き回されながら、僕はコクコクと粘液を飲み下した。
 美奈穂さんのキスはまだ終わらない。
「んうぅっ!」
 酸欠を起こしそうなほど強烈に口を吸われ、中に残っていた唾液と共に絡まった舌も美奈穂さんの口内に移動する。
「ぅんっ……ん、んむぅ……んくぅ……は、ふぅ、ん……」
 二つの口の中で体液が舌で掻き回され、混ざり合う。
 飲み下したと思ったら、また次の液が口の中で湧き出て新しいエキスが作られていく。もう、美奈穂さんが強引に僕の舌を求めてるのか、それとも僕の方が美奈穂さんを襲っているのか分からなくなって来ていた。
「――ん、ふぅ」
 唾液の糸を引きながら、美奈穂さんが顔を引いた。
「ごちそうさま、功一君……美味しかったわ」
「は、ふぁい……」
 朦朧とする意識の中で、どうも服がまさぐられてるなーっていうのが、ちょっと気になった。
「ちょ、ちょっとママ!?」
 けど、今は何もする気にはなれなかった。
 温かい舌が身体を這い回るのが、ひどく気持ちいい。
「ふふーん、悔しかったら、対抗してみなさい?」
「功ちゃんっ」
 きっつい澄乃姉ちゃんの声に、霞のかかっていた頭がスッキリした。
「は、はいっ……んうっ!?」
 慌てて振り返ったと思ったら、今度は澄乃姉ちゃんがキスしてきた。
 条件反射で、さっきまでと同じように澄乃姉ちゃんの唇を自分の舌で割る。
 さっきまでと温度と味の違う口の中で、僕らは息の合った長いキスを続けた。
「あらあら、澄乃ったら積極的ね」
 首筋とか肩にキスを繰り返しながら、美奈穂さんは僕の肌着をたくし上げた。
 と思ったら、僕の胸板に小さくキスを繰り返し、先端を口に含む。
 初めての感覚に、僕は澄乃姉ちゃんとキスしながら身体が震えた。
 途端に、澄乃姉ちゃんの目に涙が浮かぶ。
 あ……。
 悲しそうに離れようとする澄乃姉ちゃんに、僕は強引に顔を寄せてキスを続行した。
 甘える澄乃姉ちゃんに唾液を送り込むと、嬉しそうに鼻を鳴らしながら飲み下していく。何度も舌で催促してくるので、僕もそのたびに粘液を送り続けた。
 けど、その間も、美奈穂さんの責めは止まるところを知らない。
 ずっとキスを続けていたいけど、このままだと澄乃姉ちゃんは不利になるばかりだ。
「す、澄乃姉ちゃん……」
 僕は澄乃姉ちゃんの両肩を掴んで、前に移動させた。
「う、うん、わたし、負けないんだからぁ……」
 僕の前にひざまずいた澄乃姉ちゃんは、ズボンの上から僕のモノを撫で始めた。
「澄乃姉ちゃん……」
「功ちゃん、苦しいの? ちょっと待ってね。今、出してあげるから……」
 澄乃姉ちゃんはベルトのバックルを外すと、ズボンのジッパーを下ろした。
 ズボンの中で既に大きくなっていた僕のモノが、外に飛び出る。
 澄乃姉ちゃんの細い指が、僕のモノを包み込んだ。
「こういうの、まだ二回目だから下手だったらごめんね。でもお姉ちゃん、頑張るから……」
 先に出てた透明な液で滑りやすくしながら、澄乃姉ちゃんの手がゆっくりと上下に動く。
 そのまま、先端に口を寄せた。
「はぅっ……!」
「ここが、感じるの?」
 澄乃姉ちゃんの舌が、亀頭を重点的に責め始める。
 僕の様子を観察しながら、ペロペロと先から出る液体を舐め、少しずつその行動範囲を広げていく。
 時々見上げてくる澄乃姉ちゃんに、僕の顔がかぁっと火照った。
「す、澄乃姉ちゃん、恥ずかしいよ……」
「ごめん、でもちょっと我慢してて……」
 澄乃姉ちゃんの舌が、茎から袋の方に移動する。
「ここも……いいみたいだね?」
 舌と手を駆使しながら、澄乃姉ちゃんは学習しているみたいだった。
 僕はすぐにでも出そうになるのを堪えるため、大きく息を吐いた。
「んふふ、功一君ったら可愛い……」
 文字通り息をつく暇もなく、美奈穂さんが唇を重ねてくる。
 ひとしきり唾液を吸い上げると、今度は僕の口内に美奈穂さんの唾液が流れ込んできた。
「飲んで……」
 超間近で、美奈穂さんの濡れた目が見つめてくる。
 僕が飲み込むと、美奈穂さんは嬉しそうに再び顔を寄せてきた。
 今度は、僕の方から唾液を美奈穂さんの口の中に送り込む。
「ご馳走様。それじゃ、続けましょ……」
 美奈穂さんを情熱的なキスを続ける一方、絶え間なく下から快感がこみ上げてくる。
 澄乃姉ちゃんが抗議しなかったのは、多分そっちに集中していたからだろう。
「はっ……あ…ん、んぅ…っ…」
 澄乃姉ちゃんは僕のモノを舐めしゃぶりながら、自分の股間にも手を回していた。
 いつの間にかパンティが左足首に引っ掛かり、弄っているそこからは水音がしていた。
 手が動くたびに、小さな水たまりが少しずつ大きくなっていく。
「……」
 僕の喉がゴクリと鳴った。
 ……澄乃姉ちゃん、自分でしてる。
「あ、うん……触られなくても…ぁっ…感じるみたいなの。功ちゃんを気持ちよくしてるって思うだけで……ん、ふぁ…」
「ん、ふ……じゃあ、澄乃には奉仕しててもらうとして……」
 美奈穂さんの手が僕の手首を握り、そのまま自分の服の中にねじりこんだ。
 けど、美奈穂さんはむしろ僕の手で自分の胸を揉むように動かし続ける。
「ね……好きに、触っていいのよ……」
 頬を上気させながら、美奈穂さんが誘ってきた。
 空いたもう一方の手で、ブラウスのボタンを外していく。
「は、はい……」
 僕は美奈穂さんの豊かな胸を揉みながら、少しずつ自分に引き寄せた。
 いいのかな……。
 でも、好きにしていいって言ったし……。
 しなだれかかってくる美奈穂さんに、ゆっくりと唇を重ねる。
「んっ……」
 僕とほぼ同時に美奈穂さんも舌を伸ばしてきた。
 ぬらりとした粘膜が触れ、絡まりあう。
「んうっ……んくっ…んむ……ん、んー……ふぁ……」
 大きく手の平を動かしながら凝ったデザインのブラジャーを捲り上げる。
 親指で固く尖った先端を弄くると、美奈穂さんが小さく声を上げながら身体を仰け反らせた。
「んんぅっ…あ、あっ、いいの……功一君、それ、もっと欲しい……」
 強めに揉むと、美奈穂さんは切なげに訴えてきた。
「……これがいいん…ですか?」
 絶え間なく下から快感がこみ上げてくるのを我慢しながら、美奈穂さんの豊かな胸を力強く揉みまわす。
「ふぁっ……あ、ん! んんっ……す、すごいのぉ……!」
「うわ……」
 耐えられなくなったのか、美奈穂さんの体が僕にしなだれかかってきた。
「ね、ねえ、功一君……もっとぉ……」
 美奈穂さんが耳元で囁く。
「は、はい……」
 僕が頷いた途端、僕のモノが熱い粘膜に包まれる感触が襲い掛かってきた。
「す、澄乃姉ちゃん……!?」
「んっ…むぅ……功ちゃんの……ママのせいで…っ…すごく、おっきくなってる…何か、悔しいもん……」
「そ、そんな所で対抗意識燃やされても……あ、あぅっ……み、美奈穂さん…?」
 下を向いていると、美奈穂さんが首筋を舐めてきた。
 ゾワゾワとした強烈な感触が身体を走る。
「だってぇ……功一君、構ってくれないから……ね、早くぅ……」
 どうしろと。
 首筋を這っていた美奈穂さんのねっとりとした舌が徐々に上り、耳の裏から穴へと進んでいく。
「ちょ、み、美奈穂さん……恥ずかしいから……」
「ふふー…功一君、可愛い……もっとしちゃお♪」
 言いながら、美奈穂さんはどんどん調子に乗って、僕の耳やら首筋やら頬やらにキスをしていく。
「んっ…んぐっ……んぅっ…む…ん……ふぅっ…功ちゃぁん……」
 澄乃姉ちゃんは澄乃姉ちゃんで、どんどん遠慮がなくなっていた。
「あ、あうぅ……」
 上と下を同時に責められて、このままだと僕の体がとても持ちそうにない。
 僕は覚悟を決めると、手の中に収まったままの美奈穂さんの乳首を小さく捻り上げた。
「んあぁっ……あ、はあぁっ……」
 敏感な場所を強く刺激されて、美奈穂さんの責めが一瞬やんだ。
「もっと、しますよ……」
 乳首を引っ張り、たふたふと乳房を揉み立てる。
「あっ、あ、あんっ……胸、そんなにしちゃ、功一君……わ、私、変になっちゃいそう……」
 かなり効いているようだ。
 半開きの口に、唇をかぶせ美奈穂さんの身体を引き寄せる。
「美奈穂さん……もうちょっと、上に身体を寄せて……」
「は、はい……こう……?」
 虚ろな目で美奈穂さんが、背伸びをするように上体を持ち上げた。
「はい」
 僕は目の前にきた胸をすくい上げ、先端を口に含む。
「あ…ああぁっ……!」
 美奈穂さんが天井を向いて大きな声を上げた。
「美奈穂さん…ん…ちゅくっ……気持ちいい?」
 口の中にある固い乳首を舌で転がし、赤ちゃんみたいに何度も吸い付く。
「ん、んぅーっ……う、うん、いいわ……功一君の舌、ん、あっ、感じるの……」
 美奈穂さんの手が僕の後頭部に手を添え、自分の胸に押し付けてきた。
 けど、強くはない。
「んうっ……ん……ん、んくっ……んーっ」
「あっ、あああああーっ!」
 乳首を強く吸うと、美奈穂さんが大きく身を仰け反らせた。
「いいなぁ、ママ……」
 僕のモノを舐めながら、なんだか羨ましそうに見上げてきた。
「んっ……澄乃姉ちゃん……?」
「功ちゃん、わたしもぉ……」
 ……って言われても。
「ごめん、澄乃姉ちゃんは、もうちょっと我慢」
「こんなに頑張ってるのに……功ちゃんが意地悪する……功ちゃんが贔屓してる…」
 僕のモノを舐めながら、いじける澄乃姉ちゃん。
 いや、あのね。
「澄乃姉ちゃん」
 僕は、拗ねた振りをしている澄乃姉ちゃんの頭に手を置いた。
「……うん?」
「おあずけ」
「……」
「いい子にしてたら、ご褒美上げるから」
 頭を撫でながら言うと、澄乃姉ちゃんは笑顔になった。
「わん♪」
 よかった……機嫌が直ってくれた。
「ぷっ……くすくす」
 その横で、美奈穂さんが吹き出した。
「美奈穂さん?」
「すごいわね、二人とも。それで、仲直り出来るんだから」
「別に、本気で喧嘩してた訳じゃないですし……だから、澄乃姉ちゃん、もう少し待っててね」
「ん……うん、分かった。いい子にしてる」
 ペロペロと僕のモノを舐めながら、澄乃姉ちゃんはコクンと頷いてくれた。
 二人同時って……大変だ。
 再び、美奈穂さんの胸に顔を寄せながら、手を背中に回す。
「んうっ……!」
 途端、美奈穂さんが急に艶かしい声を上げた。
 さっきまでの比じゃない。
「美奈穂さん……?」
 もう一度。
 美奈穂さんは何かに耐えるように唇を噛むけど、すぐに弛緩したように吐息を漏らした。
「ひあっ! あっ…あぁっ……! そ、その指、駄目ぇ……!」
 えっと……。
「美奈穂さん、ひょっとして背中……弱い?」
「よく、分からない……けど、何だかゾクゾクして……!」
 美奈穂さんが僕にしがみつきながら、泣きそうな顔で訴えてくる。
 可愛い。
 そう感じた僕は、汗ばんだ背中に今度は意図的に指を這わせた。
「ひ、あ、あぁんっ! ふぁっ、あぁっ、ああぁ!」
 そのたびに美奈穂さんの身体がビクッビクッと震える。
「はっ……あっ……あっ……」
 胸と背中を同時に責められて、もう息もたえだえのようだった。
 ちょっと……可哀想かな。
「大丈夫…ですか?」
「はぁ…はぁ……ううん、いいの。功一君が望むなら……もっとして……」
「でも、辛そうですけど……」
「いいのよ……功一君がしたい、って思ったんでしょ? だから、私も嬉しいの……」
「は、はい……」
「ね、ねえ、功一君……」
 美奈穂さんの手が、また僕の手首を掴んだ。
「はい?」
 恥ずかしそうに、その手を自分の下に導いていった。
 むわっとした湿気が手から伝わってくる。
「こっちも、お願い……我慢出来ないの」
「……は、はい」
 濡れた布地に指を押し付けた。
 じわりと布地から液が染み出し、指を濡らしてくる。
 ピッタリと股間に張り付いた下着では、突起やあそこの形も丸分かりだった。
 探るように指を動かす。
「ん、くぅっ……はぁ……あ、功一君の指…気持ちいいのぉ……」
 ギュッと僕にしがみついてくる美奈穂さん……って、胸に圧迫されて息が苦しい。
「ぷはっ……すごい……濡れてますよ、美奈穂さん」
「う、うん……こんなの初めてで……私、どうしていいか……」
 そうこうする内にも、下着はもうその役目が完全になくなったみたいになっていた。
「ん……んんっ……あ、ああっ……」
 指を前後させると、そのたびに美奈穂さんが鼻息を上げながら身をよじる。
「入れますよ……?」
 下着を横にずらしながら尋ねる。
「ええ……で、でも、最初はゆっくりお願い……」
「? う、うん……」
 美奈穂さんの望み通り指を一本、慎重に挿入する。
 どろどろとした熱い粘膜が僕の指を包み込んできた。
「あ、ああぁっ……は、入って来るぅ……」
 うわ……。
 当たり前だけど、澄乃姉ちゃんとはまた違う。
 澄乃姉ちゃんのはすごくきつく締め上げてくるけど……それに対して、美奈穂さんのは絡みつきながら中の複雑な襞が包み込んでくる。
 指なのに、すごく気持ちいい。
 感触を確かめるように、ゆっくりと指を動かし始める。
「あ、ゃ……こ、功一君の指……中で動いてるの…あ、あんっ…はうっ!」
 美奈穂さんの声がいきなり跳ねた。
 それは多分、一緒に背中を撫で始めた僕の指のせいだろう。
「こ、功一君……?」
 どこか怯えたような声を上げる美奈穂さん。
「こっちも、気持ちいいんですよね」
 さらに胸に顔を埋め、乳房を吸いながら口内の舌で乳首を舐め上げる。
 背中、胸、あそこの三点責めだ。
「あ、ん、そ、そうだけど……あんまり……あ、あぁっ、強くされると……っ」
「うん……」
 きゅうっと指を締め付けながら、愛液を溢れさせてるから、嫌でも分かる。
「ぅんっ……!」
 下半身からも、強い快感が突き上げてきた。
 僕のモノの先端が、粘膜に包まれる。
 その粘膜に覆われる部分がどんどん増えていく。
 澄乃姉ちゃんが僕のを咥え始めていた。
「んっ……んぐっ、んむっ…ん、んん……ぷぁっ……功ちゃん、どう……?」
 ゆっくりと、澄乃姉ちゃんの頭が沈んでは持ち上がる。
「う、うん……いいよ、澄乃姉ちゃんの口も、気持ちいいよ」
「ん、ありがと……嬉しい……ん……んむ…んぅ…」
 僕も腰を突き上げ、澄乃姉ちゃんの口の中に出し入れする。
 もちろん、美奈穂さんへの責めも忘れない。
「あ、あん、あぁっ…功一君……ん、あ…あぁっ……!」
 美奈穂さんが受け身になり、
「はっ……あ……はぁっ…はぁっ……」
 僕は美奈穂さんを責めながら澄乃姉ちゃんに責められ、
「ぅん、んくっ……んむっ……ん、んー……」
 澄乃姉ちゃんは僕のモノを咥えながら自分を慰めていた。
「はうぅっ……!!」
 美奈穂さんの身体が痙攣し、指を締め付けてきた。
「あ……あ……あぁ……!」
 小刻みに震えながら、荒い息を繰り返した。
「イッちゃいました?」
「うん……」
 僕の問いに、美奈穂さんは潤んだ目で頷いた。
「すごかったの……」
 ……何か、本当に澄乃姉ちゃん大きくなったバージョンみたい。
 スリスリと僕に身体を擦り付けてくるのは、どちらかと言うと猫みたいだけど。
「ん、ん、んんっ……」
 下からのくぐもった声。
 まだ奉仕を続けている澄乃姉ちゃんの頭に、僕は手を置いた。
「澄乃、美味しいの……?」
 不意に美奈穂さんが、そんな事を言い出した。
 僕のモノを舐めたり手でしごいたりしている澄乃姉ちゃんを見下ろす。
「ん……」
 で、その視線に気付いた澄乃姉ちゃんが少し、舌を休めた。
「うん……功ちゃんの味がするの……ママも、するの……?」
「あ……」
 もう少しだったのに。
「ごめんね、功ちゃん。もうちょっと、我慢」
「う、うん……でも……」
 僕はてっきりこのまま一度出しちゃう事になるのかと思ってたけど、そうもいかないようだった。
 美奈穂さんが僕を見つめてきた。
「み、美奈穂さん……?」
「……いいわよね?」
 ……そんな顔で首を傾げられたら、逆らえる訳がないじゃないか。


 居間に、二人分の唾液の音が響き渡る。
「うん…んむ……んふ…ぅむ……ん、んぅ……」
「ん……んく、ん…んっ……」
 竿の右側を少し慣れた感じの澄乃姉ちゃん、左側をやや遠慮がちな美奈穂さんが舐めていた。
「あ、あああっ……」
 すごかった。
 澄乃姉ちゃんだけでも充分気持ちいいのに、二人同時だとその比じゃない。
 当然、澄乃姉ちゃんと美奈穂さんの舌同士が触れ合うことだってある。
 のに、二人はそれに、一向に構っている気配はない。
 っていうか、時々わざとキスしあってるみたいな……。
 そんなすごい光景に、頭がくらくらした。
「は、あ……はぁ……」
 大きく息を吸い、何度目かの射精感をやり過ごす。
 すぐに出すにはもったいなさ過ぎる。
「い、痛くないの……功一君?」
「んむっ、大丈夫よ、ママ……功ちゃんのそれ、感じてくれてるんだよ……」
 美奈穂さんの視線に、僕も頷いた。
「は、はい……」
「よかった……じゃ、もっと……」
「ママ……こういうの初めて?」
「え、ええ…だって……一度しか経験ないもの……」
「あー、うん、だと思った……」
 やっぱり、澄乃姉ちゃんも気付いてたみたいだった。
「じゃ、わたしの方が回数だと先輩って事になるよね……そこの筋に沿って舐めると、気持ちいいみたいだよ」
 言いながら、澄乃姉ちゃんは美奈穂さんに譲るように自分は袋を舐め始める。
「ん、こう……?」
 一方、澄乃姉ちゃんに言われるまま、美奈穂さんが裏筋に沿って舌を上下させる。
「は、あ、ああっ……ん、そ、そう……」
「じゃあ、こういうのは……?」
 くびれた部分を舌で刺激しながら、美奈穂さんは指先で先端部分を弄り始めた。
 いつ発射してもおかしくない状態に、僕は呻き声をあげる。
「い、いいです……み、なほさん、初めてなのに……」
「勘」
 ……うわぁ、分かりやすい理由。
「ん、うんっ、ママ、わたしもぉ……」
「ええ、じゃ、二人で……」
 ずっと下の方ばかり刺激してた澄乃姉ちゃんが、顔を上げて僕の弱いところを重点的に責めてくる。どこら辺が弱いのかは、昨日何度もした時に憶えていたんだろう。
「ママ……飲むのと挿れるの、どっちがいい?」
 舌を休めないまま、澄乃姉ちゃんがそんな質問を美奈穂さんにした。
「え……?」
「どっちか、だよ。……両方は駄目」
「……じゃ、じゃあ……挿れる方……」
「なら、飲むのは…んっ…わたしだからね…」
「あ……澄乃、ずるい……」
 なんだか羨ましそうな顔をする美奈穂さん。
 けど、澄乃姉ちゃんはそんな美奈穂さんを無視して、小さな唇を開いた。
「ずるくない、もん……んくっ、んぐっ……んん……」
 ついに、澄乃姉ちゃんの口の中に僕のモノが侵入してきた。
 美奈穂さんは竿に集中して、何度も舌を往復させる。
「ふ、二人とも、僕、もう出ちゃいそうだよ……」
 これ以上は耐えられそうになかった。
 僕は澄乃姉ちゃんの頭に手を添え、腰を小さく突き上げる。
 ……あまり大きく動いて美奈穂さんの喉を突いたら大変だ。
「う、ん…出して……功ちゃんの精液、いっぱい……全部飲むから……」
 鼻息を荒げながら、澄乃姉ちゃんがねだってくる。
「ん、ぐっ……んくっ…うんっ……」
 そして、僕のモノを強く吸い上げる。
「は……ん、すごい太くなってる……もう、出るのね……」
 美奈穂さんも、興奮した様子で僕の限界が訪れるのを待っているようだった。
 もう、限界だった。
 熱い塊が、竿の中を急激な勢いでせり上がって来るのが伝わってくる。
 止められない。
「あ、あ、ああっ、出る、出るよ……うあぁっ!!」
 精液が、澄乃姉ちゃんの口の中で迸る。
 見えないけど、物凄い勢いと量なのは分かった。
「んうっ……!! ん、んぐ、んんっ……!」
 澄乃姉ちゃんの頭が小さく震えた。
 僕は呆けたような声を漏らしながら、断続的な射精を繰り返す。
 やがて衝動が収まると、澄乃姉ちゃんがゆっくりと唇から僕のモノを引き抜いた。
「はぁ……はぁっ……功ちゃんの…いっぱい……」
 コクッと飲み込む。
 まだ竿に残ってる白濁を舐め取りながら、美奈穂さんも顔を上げた。
「澄乃……わたしにも頂戴……功一君の……」
「んっ……んむ……はぁっ……うん……」
 唇を重ね、舌を絡ませ合いながら僕の体液を交換する二人。
 その様子を見て、僕のモノはまた、元気を取り戻してきた。


 美奈穂さんが、仰向けになった僕の上にまたがってくる。
 奇しくも、澄乃姉ちゃんと初めてした時と、同じ体勢だった。
 美奈穂さんは腰を半浮かしの状態で、そそり立った僕のモノに手を添えている。
「い、いいかしら、功一君……?」
「は、はい……」
「ママ……ちょっと緊張してる?」
 横から眺めている澄乃姉ちゃんも、声が少し上ずっていた。
「そりゃ、ね……んぅ……っ!」
 先端が、美奈穂さんの半開きの割れ目に触れる。
「ん……あっ……」
 美奈穂さんの腰が徐々に落ちると共に、僕のモノが割れ目の中に埋まっていく。
 亀頭全体が、粘膜に包まれる。
「は……あぁ……」
 美奈穂さんは恥じらいながらも、ちょっとずつ確実に腰を下ろしていく。
 僕の視線は繋がっているそこよりも、美奈穂さんの表情に釘付けになった。
「美奈穂さん、可愛い……」
「や、やだ…功一君…大人をからかわないで……」
 本当にそう思ったんだけどなぁ……。
 そうこうする内に、僕のモノは全部美奈穂さんの中に沈んでしまう。
 先端が、奥に当たった。
「あっ、あ、ああぁ……ああぁっ!」
 美奈穂さんの身体が、ぶるっと震えると共に、包み込まれていた僕のモノがギュウッと締め付けられる。
 開いた口から、つ……と口の端から唾液が顎に滴っていった。
「美奈穂さん……?」
 僕の胸に手を当て、美奈穂さんが大きく息をつく。
「ぁ、あはー……ずっと焦らされてたから……だと思うの……一瞬、頭真っ白になっちゃった……」
「動かない方がいい?」
「う、ううん……もっと、欲しい……」
「はい……」
 小さく腰を動かし、美奈穂さんの奥を突き上げる。
「あ、あ、あっ……功一君のっ…あっ、中でっ…動いてるぅ……」
 まだ余韻が残ってるのか、息を上げる美奈穂さんの頭がグラグラと揺れる。
「澄乃姉ちゃん……」
「ん……何?」
 僕は澄乃姉ちゃんの頭を撫でて、美奈穂さんに視線をやった。
「う、うん……分かった」
 察してくれたらしく、澄乃姉ちゃんは僕の傍から離れ、身体を起こそうとした。
 けど、ぺたんと尻餅をついてしまった。
「あはは……足に力入らないや……」
 よいしょ、と立ち上がる澄乃姉ちゃん。
 半裸のまま太股に沿って液を滴らせてる澄乃姉ちゃんの身体は、いやらしくて、そして綺麗だった。
 美奈穂さんはまだ虚ろみたいで、これから何をされるのかは気付いていない。
 ……あ、でも。
「澄乃姉ちゃん、ちょっと」
「ん?」
 顔を近付けた澄乃姉ちゃんの唇を僕は塞いだ。
「んぅ……っ!?」
 そして、口の中に溜めた唾液を送り込む。
 すぐに離した。
「ちょっとだけだけど……やっぱり、不公平だったみたいだしね」
「……」
 澄乃姉ちゃんは口元を押さえながら、ふるふると首を振った。
 心なしか、目が潤んでいるようにも見えた。
 澄乃姉ちゃんは一度、喉をコクンと動かした。
「ありがと……功ちゃん。じゃ、始めるね」
 澄乃姉ちゃんが、美奈穂さんの後ろに回る。
 僕からは、美奈穂さんが壁になってて見えない。
 けど。
「ひぁっ!?」
 始めたのは分かった。
「す、澄乃……!?」
 動揺する美奈穂さん。
「ん……駄目だよママ、逃げちゃ。功ちゃんのお願いなんだから」
「で、でも、駄目……あ、や、ほ、本当に弱いの……あ、あっ、あぁぁんっ!!」
 美奈穂さんがまた達した。
「ぅん……んん……」
 美奈穂さんの背中を、澄乃姉ちゃんの舌が行き来する。
「あ……ああっ! ゃ…も、もう……駄目だって…言ってるのに……あ、あ、またっ……はあぁぁぁん!」
 何度も絶頂を向かえ、美奈穂さんの身体が僕の方に傾いてきた。
「大丈夫、美奈穂さん?」
「はぁー……はぁー……ぜ、全然…大丈夫じゃない……けど」
「み、美奈穂さん?」
「まだ、功一君はイってないでしょ……だから、私も……ん」
 身体を起こそうとする美奈穂さん。
「今度は、私が功一君にしてあげる番……」
「あ……でも、あんまり無理しない方が……」
「私が……したいの」
 美奈穂さんは、力の入らない身体で何とか動こうとしていた。
 ぬるっ。
「うわっ……!?」
 いきなり、すねの辺りに妙な感触を感じた……これは。
「す、澄乃姉ちゃん、どうしたの……?」
「こ…功ちゃあん……ん……」
 美奈穂さんの脇から顔を覗かせた澄乃姉ちゃんは、息を荒げながら僕を見つめてきた。
「わたしもやっぱり欲しい……我慢出来ないの……」
 そんな、泣きそうな顔で言われても……。
「え、えっと……でも……」
 僕の上に乗っかった美奈穂さんは、自分からも腰を振り始めていた。
「んっ、んっ……は、あっ……あんっ……あ、あぁんっ……!」
 それも、どんどん積極的になっていっていた。
「功一君、駄目…駄目よ……絶対、やめちゃやなんだからぁ……」
 どこか舌っ足らずな口調で、美奈穂さんが訴えてくる。
 ……今やめたら、美奈穂さんが絶対泣く。
 で。
 澄乃姉ちゃんはヨロヨロと僕の傍らにひざまずくと、唇をかぶせてきた。
「功ちゃん……功ちゃん……」
 僕の口を何度もついばみ、自分のあそこをいじりながら、おねだりしてくる。
「ゆ、指じゃ駄目?」
「いやぁ……」
 微妙に幼児化しながら、澄乃姉ちゃん本気で泣きそう。
 う、うー……こ、こうなったら。
「澄乃姉ちゃん、僕の顔にまたがって」
「……え?」
 泣き顔で、「よく分からない」という風に首を傾げる澄乃姉ちゃん。
「し、舌で……してあげるから」
「い、いいの……そんなの?」
 言いながら、澄乃姉ちゃんはもう腰を浮かせていた。
「うん……ずっと、待たせちゃったし」
「おあずけ……解除してくれるの?」
「う、うん……」
「じゃ、じゃあ……ごめんね、功ちゃん」
 澄乃姉ちゃんが、僕の顔の上にまたがった。
 薄い毛、そして濡れた割れ目が僕の目の前に迫る。
 僕は口を開いて、澄乃姉ちゃんの割れ目全体に覆い被せた。
 澄乃姉ちゃんの体重を感じた、と思った途端、その腰が大きく震えた。
「あぁっ、あっ、あああぁぁんっ!!」
「す、澄乃姉ちゃん……?」
「はっ……あ、あは……ママとおんなじ。軽くイったみたい。だってこれ、すごく恥ずかしいのに気持ちいいもん……」
 澄乃姉ちゃんのお尻がもう一度、僕の上に乗る。
 舌を突き出し、割れ目の中に侵入させると重たい蜜が僕の口の中に入り込んできた。
 気にせず、澄乃姉ちゃんの中を掻き混ぜる。
「ん、は、ぁ……すごぃ……功ちゃんの舌、入ってるよぉ」
「澄乃…ん…はぁ……あ……そんなにいいの?」
「うん……あ、でも、ママも…すごく気持ちよさそう……」
 ……僕には見えませんけどね。
「ええ、功一君のが……奥まで入って……動くたびに……響いてくるの」
「すごいでしょ?」
「うん……じゃ、功一君にも……もっと気持ちよくなってもらわなきゃ、不公平よね」
 美奈穂さんの腰がうねるように動き始める。
「あ、美奈穂さん……」
「まだ……慣れてないけど、こんな感じでいい?」
 美奈穂さんの腰が揺れるたびに、僕のモノ全体がずっと舐められ続けているみたいな異様な感触に包まれる。
「あ、いいです……すごく、気持ちいいです」
「ん、嬉しいわ……じゃ、もっとするわね……あ、あ、これ、私も気持ちいい……っ!!」
 僕に乗っかり積極的に腰を動かしながら、美奈穂さんが大きく乱れる。
 しかも……何か美奈穂さん……上下するたびに上手くなっていってる。
「功ちゃん、わたしもぉ……」
 澄乃姉ちゃんが、ちょっと乱暴に体重を預けてきた。
「う、うん……」
 澄乃姉ちゃんの太股を手で押さえ、割れ目に舌をねじ込む。
「あ、あっ、ま、また入ってくるぅ……中で、功ちゃんの舌が動いてるよぉ……」
 澄乃姉ちゃん自身、少しでも僕の舌を深く咥え込もうとお尻を押し付けてくる。
「澄乃……」
「え? ママ、なに……んぅっ……!?」
 くぐもった声と、水の弾ける音。
「澄乃も……」
「ん、うん……は、ぁ、ママぁ……」
 見えないけど、何をしているのかは察しがついた。
「うふふ、澄乃、可愛い……ん、くちゅ……んぐっ、ぅん……」
 二人は執拗に唇を貪りあいながら、身体を触れ合っていた。
「あ…ママの、やっぱり大きい……」
「澄乃も……じきに大きくなるわよ。ママの子だもの」
「だといいけど……」
 ……二人の世界に入り込んでいる澄乃姉ちゃんの割れ目から、僕は舌を引き抜いた。
 そして、頭をずらして割れ目からお尻の穴まで舐め上げる。
「ん、あ、こ、功ちゃん、そっちは違っ……!」
 澄乃姉ちゃんが慌てて軽く身をよじった。
 けど逃がさない。
 手に力をこめ、澄乃姉ちゃんのお尻をがっちりと固定しながら、割れ目からお尻にかけて何度も舌を這わす。
「あ……あ、ゃあ! お、お尻……駄目ぇ……」
 見る見るうちに、澄乃姉ちゃんから力が抜けていくのが分かった。
 けど、それでも澄乃姉ちゃんは小さな抵抗を止めない。
「お尻舐められてるの? でも、逃げちゃ駄目よ? 全部、功一君に捧げたいんでしょ?」
 美奈穂さんの言葉に、澄乃姉ちゃんの動きがスッと大人しくなった。
「ん、うん……逃げないよ……功ちゃんに、全部上げるんだもん」
「あらあら、功一君。この子、すごく気持ちよさそうよ。そこ、弱いみたい……」
「あ、はい……」
「あ、う、ママの意地悪ぅっ……」
 大人しくなったといっても、僕が舐めるたびに澄乃姉ちゃんは甘い声を上げながら身悶えた。
 後ろを舐めるたびに、割れ目からは透明な液が溢れ出してきていた。
「さっき、背中をいじめた仕返しよ。それに、いいんでしょ……功一君の舌」
「ん、うん……は、あぁっ……すごいの、力抜けちゃうよぉ……ひぁっ…あ、あっ……」
 尖らせた舌をほぐれた後ろの穴に入れると、澄乃姉ちゃんの声がどんどん高くなっていった。
 自分ので貫くみたいに、ピストン運動を繰り返す。
「まだ、駄目よ。次に…イクのは、三人一緒で、ね」
「あ、あ、あぁっ……が、我慢できないよぉ、功ちゃぁん……」
 澄乃姉ちゃんが、お尻を振りながら鳴き声を上げた。
「ごめん……じゃあ、やめる?」
「ゃあんっ、やだっ……やめちゃ嫌ぁ……」
「やめないよ……でも、今度はこっち」
 後ろの穴を止めて、普通の――っていうのも変な話だけど、澄乃姉ちゃんの割れ目をまた舐める。
「あ、あ、ああぁっ!」
 さっきよりもずっと、蜜の量が増えていたそこに舌をねじ込む。
 口の中が自分の唾液と澄乃姉ちゃんの蜜でいっぱいになる。
 けれど構わず中に舌を突き入れ、粘膜を掻き混ぜた。
「ん、あ、あっ、あぁっ……功ちゃんの舌っ…あっ、は、入ってる……あ、あ、深いのぉっ……」
「澄乃…すごいわね……」
「ん、ふぁっ……ママも…あっ…あぁ……人の事言えないじゃない……」
 澄乃姉ちゃんを舌で責めたまま、腰も激しく上下運動を繰り返す。
 コツを覚えた美奈穂さんの動きと一致し、どんどん快感が高まっていく。
「だ、だって……ん、う、功一君が、はぁっ……すごいんだも……あ、あ、私も……も、もうっ……」
「あっ、あっ、好き、すきなの、功ちゃん、功ちゃぁん!」
「ふぁっ、功一君のが奥まで届いて……ん、あ、あ、あぁっ……!!」
 僕は腰を最大限まで動かすと、最後に力いっぱい美奈穂さんの子宮を突き上げた。
 同時に、舌を限界まで澄乃姉ちゃんの中に突き入れた。
「あああああーーーーーっ!!」
「も、もう、駄目えぇぇーーーっ!!」
 二人の身体が、僕の上で震え硬直する。
 同時に、僕も美奈穂さんの中に、これまで我慢していたありったけを放出した。
「は、あ……お腹の中に、熱いのが流れ込んできてる……ん、はうぅっ……」
 押し寄せる快感をそのままに、噴射を何度も続ける。
「は、あ……あああぁぁっ……」
 僕の顔の上に乗った澄乃姉ちゃんの腰が、ブルッと震えた。
「ん……う……んん!?」
 それと共に、僕の口内に生暖かい液体が流れ込んできた。
 こ、これって……。
「ごめっ、ごめんなさい、功ちゃん……あ、やだっ、止まらなくて……功ちゃん、嫌いにならないで……」
 おしっこを漏らしながら、澄乃姉ちゃんが泣き声で謝って来た。
 けど、僕は返事をするどころじゃなくて、口の中の液体を飲み下すので必死だった。っていうか、しなかったら窒息しそうだったので。
 その一方、腰から下はポンプのように痙攣を繰り返しながら、美奈穂さんの膣内を白濁液で満たしていた。
 やっと全部飲み干して、僕は澄乃姉ちゃんの身体から少し顔をずらした。
「澄乃姉ちゃん……大丈夫だから……怒ってないから」
「ん、ぅん、ごめんなさい……う、うぅっ……」
 不謹慎だけど、グスグスと泣きべそをかく澄乃姉ちゃんも可愛い、と思った。
「はぁ……すごかったぁ……。ぅん……ほら、澄乃も…功一君は怒ってないって言ってるんだから、ね?」
「うん……でも、ちょっと洗わないと……」
「っていうか、僕がちょっと休憩したいです……」
「そうね」
「はぁい……」
 荒い息を吐く僕の上から、ゆっくりと二人が降りた。


「前にも言ったけど、別に澄乃から功一君を取ろうなんて思ってないのよ、私は」
 身支度を整えて、僕らは再び居間に戻って、美奈穂さん開口一番の台詞がこれ。

 澄乃姉ちゃんは僕をお風呂に引っ張り込み、強引に身体を洗って出たかと思ったら、着替えと一緒に何故か冷蔵庫からお水を出してくれた。
「だって汚いじゃない」
 というのが、その答え。
「……その、飲んじゃったし」
 やっぱり気にしてた。
「澄乃姉ちゃんのだから、別に汚くないよ」
 そう言ったら、「でも汚いものは汚いの」と澄乃姉ちゃんは真っ赤になりながら、問答無用な感じでコップを差し出した。
 以上、回想おしまい。

 僕が水を飲む傍らで、あまり緊張感のない言い争いが再開された。
「……あんな事しといて、そゆ事言いますか」
「だからー、今の所私達親娘にとって最優先なのは功一君の気持ちでしょ? 功一君は、どっち?」
 うん、まあ、そう言われると。
「……」
 僕は、澄乃姉ちゃんを見た。
「功ちゃん……ありがと」
 っていうか。
 美奈穂さんも、特に気を悪くした様子もない。
 まるで自分でも答えが分かってたみたいに、にんまりしていた。
「でしょ? だから、功一君は澄乃の彼氏。で、親としてはいずれ責任は取ってもらいます」
「で、でも、それだと美奈穂さんは……」
「私は大人だもの。責任を取るなら功一君じゃなくて、私でしょ?」
「……わたしも、功ちゃんより年上なんだけどなぁ」
 横でボソッと呟いた澄乃姉ちゃんだったが、僕は気がつかない事にした。
 突っ込んだら、余計ややこしくなりそうだったので。
「ま、そんな訳で私のポジションは、現状愛人という事で♪」
「「ちょっと待ってよ!!」」
 僕と澄乃姉ちゃんは、同時に突っ込んだ。
「あら、駄目?」
 首を傾げる美奈穂さん。
「あの、美奈穂さんって……」
「本当にママ、教育者?」
 僕らの疑わしげな問いに、美奈穂さんはケロッとしながら、手をあっちからこっちへ置いた。
「それはそれ、これはこれよ」
 美奈穂さんは腕を組みながら、天井を見上げた。
「ま、断るのならそれはそれでいいんだけどー……でも、夜エッチは無しになるからね?」
「うわぁ……そう来たか」
 澄乃姉ちゃんが頭を抱えた。
「当然でしょー? 理由はまともなのや建前みたいなのも幾らでも思いつくけど、一番の理由はムカつくからね」
 ムカつくって……。
「……美奈穂さん、大人気なさすぎです」
「ええ、そうよ? 知らなかった?」
「いえ、知ってました」
 昔っから、そういう人でしたとも。
「よねー。さ、澄乃どうする?」
「どうするって……あーもー、反対したらタダじゃすまないんでしょ?」
 憮然とした表情で、澄乃姉ちゃんは美奈穂さんを睨んだ。
「さすが我が娘。分かっていらっしゃる」
「功ちゃん」
 澄乃姉ちゃんは、例の捨てられそうな仔犬みたいな目で僕を見つめてきた。
「う、うん?」
「……」
 澄乃姉ちゃん、無言。
「す、澄乃姉ちゃん?」
 けど、すぐに首を振って笑顔になった。
「ううん、やっぱいい。功ちゃんの事、信じるから」
「そう?」
 何だかよく分からないけど、信頼してくれたらしい。
「よーし、それじゃ話もまとまった所で、第二ラウンド行ってみましょうか」
 美奈穂さんは手を合わせて楽しそうに宣言した。
「ま、まだするのぉ!?」
「とーぜん! こんなの久しぶりだもの。ね、功一君……」
 妙に愛想の良さそうな笑みを浮かべながら、美奈穂さんは僕に顔を寄せてきた。
「は、はい?」
「澄乃の可愛いとこ、見たくない?」
「え?」
「さっきは私だったから、次は……ね?」
「……」
 美奈穂さんの妖しい視線の先を、僕も追った。
「後ろからなら、指で弱い所も責められるんじゃないかしら……きっと、すごく乱れるわよ?」
 美奈穂さんの呪文のような囁きが、僕の身体に浸透していく。
「多分、最初は嫌がると思うの。でも、私の娘だもの。さっきは見れなかったでしょ? 澄乃の気持ち良さそうな顔……すごかったわよー?」
 それは……見たいかも。
「こ、功ちゃん? あの……」
 冷や汗を垂らしながら、澄乃姉ちゃんが後ずさる。
「澄乃姉ちゃん……」
 お風呂上りで石鹸の匂いのする澄乃姉ちゃんを、ゆっくりとソファに押し倒す。
 澄乃姉ちゃんも、逆らわない。
「功一君の『お願い』よ? もちろん、逆らわないわよねー?」
 後ろの人がこんな事を言う。
 僕と澄乃姉ちゃんは顔を見合わせ、ため息をついた。
「悪女だ……」
「悪女ね……」
 どうしても嫌いになれないけど。
「さ、始めましょうか♪」
 ボフン、と美奈穂さんは僕の背中に胸を押し付けてきた。


<おしまい>


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